研究課題/領域番号 |
25350496
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武村 雅之 名古屋大学, 減災連携研究センター, 寄附研究部門教授 (10416852)
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研究分担者 |
都築 充雄 名古屋大学, 減災連携研究センター, 寄附研究部門准教授 (30645007)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 関東大震災 / 神奈川県 / 慰霊碑 / 記念碑 / 地震防災 / 普及啓発 |
研究実績の概要 |
本研究の究極の目標は、過去の震災の慰霊碑や記念碑や遺構のもつ当時の人々の意思や行動を直接的に伝える力を活用して「自然を正しく畏れると同時に、過去の災害を凌いだ先人の生きざまを知る」ことで、現代人の地震防災への意識を高めることである。そのために、研究計画では、我が国史上最大の自然災害である関東大震災を対象に、もっとも大きな被害を出した神奈川県下の関連物を3年間で網羅的に調査することにしている。 平成26年度はその第2年度として、神奈川県西部の湯河原、真鶴、箱根、小田原、南足柄、開成、大井、中井、松田、山北の2市8町と、津波被害が大きい静岡県の熱海、伊東の2市を加え、4市8町を対象に調査した。調査に当っては関東大震災だけでなく当該地域に大きな被害をもたらした1703年の元禄地震、1707年の富士山宝永噴火の関連物も対象にした。現地調査を通じて120地点で170の慰霊碑や記念碑や遺構を確認し、記載事項や建立の由来などを調べ、全148頁の報告書『神奈川県における関東大震災の慰霊碑・記念碑・遺構(その2 県西部編(熱海・伊東も含む))』としてまとめた。内容は、主に研究代表者が、現地の博物館などが主催する市民向け講演会などで活用し、報告書は県内のすべての図書館、市町村の教育委員会などに配布して、普及・活用をお願いし、多くの機関から感謝の知らせをいただいている。 講演を聞いた市民からは、「科学技術に単に身をゆだねているだけでなく、過去の歴史や経験を自ら勉強して自分のこととしてしっかり震災対策を考えて行きたい」という防災へのメッセージもいただいた。また、歴史地震研究会、日本建築学会、日本地震学会、日本地球惑星連合などで成果を発表し、査読論文も3編執筆し(うち1編は印刷中)、学術的な価値も評価されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度は神奈川県東部を対象に調査を予定しているが、現時点で神奈川県東部の横浜市域の調査を完了し、鎌倉市域の大部分の調査も終えている。また横浜市域については論文としてまとめることができている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どうり、神奈川県東部地域を対象に平成27年度に調査を継続し、同年終了時までに『神奈川県における関東大震災の慰霊碑・記念碑・遺構(その3 県東部編)』をまとめ、平成25年度、26年度にまとめた(その1 県中部編)、(その2 県西部編)とともに3冊をもって最終報告書とする予定。
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