研究課題/領域番号 |
25350520
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐藤 学 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50226007)
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研究分担者 |
西舘 泉 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70375319)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 深部イメージング / 低侵襲性 / ファイバー |
研究実績の概要 |
1) ショートマルチモードファイバーとGRINレンズとのタンデム光学系 屈折率分布型のショートマルチモードファイバー(SMMF)は,直径140um,長さ5mmであり,スムーズな保持部を考え,組織への挿入部を長くするために直径1mm長さ2.2mmのGRINレンズとのタンデム光学系を提案した.光線行列を用いた解析と測定より,紫外線硬化樹脂で結合した場合の結像条件,倍率と素子間隔の関係を検討した.テストパターン(TP)を用いては空間分解能4.4umを確認し,散乱物体として太さ10umの紙の繊維の反射イメージングを行いタンデム光学系の有用性を確認した. 2)OCTとの融合による高感度化・三次元イメージング化の試み OCT(optical coherence tomography)とSMMFを融合させることを試みた.ベースは,当研究室で研究した直交位相干渉ワイドフィールドOCT(QF WF OCT)であり,これの信号光路に顕微鏡の対物レンズとともにSMMFを挿入した.光源にはハロゲンランプを用いている.対物レンズとSMMFとの結合効率が小さいので,参照光路にはSMMFは挿入していない.TPを用いて,空間分解能を評価したところ,8.8umのパターンが確認できた.また深さ方向分解能では,サンプルにミラーを用いて測定した強度プロファイルより3umが得られた.また,散乱物体として直径10umの繊維からなる薄紙の構造を測定し,三次元構造は確認できたが,球面収差,画像の先鋭化などの課題が明らかになった. 3)SMMFニードルによる内因性信号測定の検討 光学的内因性信号は,組織の活動に応じて変化する組織の光学特性を捉えるが,用いる光学プローブは小形の方が組織への侵襲性が小さい.そこで,ラット脳を用いて化学的に脳組織の活動を低下させたときの散乱定数と吸収定数の変化を測定し,SMMFの有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
OCTとの融合は試みたが,多くの課題が確認され,さらにファイバーの特性にばらつきがあり,全体の特性を把握するに至っていない.また,画像改善への画像処理技術もSMMFに特化したパラメータの決定方法など具体的な検討が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
OCTとの融合による深部断層画像イメージングに向けて,SMMFと対物レンズとの結合の最適化,収差による影響の改善,画像の先鋭化のための画像処理,高感度化のためのより強度の大きい光源の探索などを行う.また,基本的に市販の光通信用ファイバーの画像伝送特性の評価が重要なので,評価方法の確立と多くのファイバーの測定により,ばらつきも含めた特性の把握を行い,ファイバーイメージングの基礎データーを固める.
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