研究課題/領域番号 |
25350521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
馮 忠剛 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (10332545)
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研究分担者 |
中村 孝夫 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00142654)
小沢田 正 山形大学, 理工学研究科, 教授 (10143083)
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヒトiPS細胞 / 心筋細胞分化 / 基質 / 心筋組織マトリクス / ゲル / 力学特性 |
研究概要 |
平成25年度の研究実施計画には以下の二つの目標があり:1)機能性培養基質の基本構造の構築と2)基質上の心筋細胞への分化誘導因子の共有結合そして分化誘導。これらの研究計画を従って、以下の研究実績を得た。 1.ヒトiPS細胞の培養と心筋細胞への分化の基本Protocolの確立:近年のヒトiPS細胞研究の目覚ましい進展とその大きな将来性を見据えて、本研究の当初計画の細胞ソース(ES/iPS)からヒトiPS細胞を決めて、研究を展開して来た。ヒトiPS細胞の心筋細胞への分化誘導にはこれまでの研究成果を十分に参考したうえで独自分化Protocolを作成・実施・検証した。この分化Protocolの特徴としては心筋細胞発生に関わる重要な二つの経路(BMPとWnt)を統合的に誘導し、かつ心筋前駆細胞段階の細胞増殖を重視している。 2.分化誘導基質の作成について、計画中の二つの目標を実現するため動物心筋組織からその細胞外マトリクスを抽出し、ゲル化させて培養基質を作成した。この方法の利点としては、心筋組織由来の分化促進因子を利用して、培養基質の作成と共に分化誘導の接着性因子と溶液性因子の基質との結合を同時に行い、二つの目標を同時に実現することが可能である。なた、心室由来細胞外マトリクスの利用は高価な誘導因子の購入も省くことができ、限られた経費の有効な利用と研究の順調な進行を果たした。 3.作成した培養基質の力学特性の検討と調節を行った。培養基質の力学特性は幹細胞分化の重要な誘導因子であることを明らかにしつつであり、本研究成果はこの物理的誘導因子の利用に重要な基礎を築いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度は本研究計画のスタート年度として上記の研究経過は順調に進行していると考えられる。特に研究提案以来の新たな研究成果を十分に吸収し、目標達成に今年度の研究活動は効果的である。
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今後の研究の推進方策 |
H25の研究成果を踏まえ、H26年度は、最適な分化制御法を確立し、既に開発済の繰り返し伸展負荷印加用バイオリアクタで、細胞-基質構造に力学的繰り返し進展負荷を印加しながら培養する。この過程を通して心筋細胞の更なる成熟を促進するとともに、基質上の一般的粘着分子により生着している非標的細胞を脱落させ、抗体により強く生着している標的細胞群のみを設計したパターンで残存させることにより、 独創的な心筋再生組織構築の中間モジュールを作製する。先行研究により、約5%の繰り返し変位を24 時間コラーゲンゲルに与えると、その上に培養した線維芽細胞をほぼ完全に脱落させられることを確認している。この過程によって、標的細胞だけがその結合抗体の分布パターンで基質上に残存し、生着する。即ち本研究の最も重要な鍵である心筋再生組織構築用の中間モジュールが創製できる。本研究では、標的細胞の高い生着率を得るために、基質上の抗体密度、最適な繰り返し変位などのパラメータを最適化する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は計画とおりで使用しており、残りのわずかな残額は次年度に有効に利用したい。 わずかな残額で物品費として利用する。
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