本研究では、生体周囲の衣類を伝播する拡散光に着目して、長期間計測の壁となるセンサ装着の煩わしさをなくし、光計測により無拘束・無意識に心疾患の兆候を検出可能とするための基礎技術開発を目的として、光センシングを邪魔する媒質の影響解明や補正法の開発を行った。その結果、光源近傍の測定値を基にして適切な補正を加えることにより生体組織の血液量や酸素濃度が精度良く得られることが示された。これは、院内のベッドサイドや薄着での就寝時などに、長時間NIRS計測が可能となることを示唆するものである。これらの成果は、心疾患関連の健康管理だけでなく、自律神経活動や情動把握等の幅広い応用も期待できる。
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