研究課題/領域番号 |
25350527
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
ウリン トヤ (烏仁図雅) 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (80401800)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電磁波 / 人体 / 胎児 / 周波数依存性 / BPSK信号 / エネルギー吸収率 |
研究実績の概要 |
H28年度では、H27年度の研究を引き続き、妊婦および胎児の電磁波吸収率の周波数依存性について詳細に調べた。本研究では、ディジタル信号に対するエネルギー吸収率の解析を目的としているが、ディジタル信号はいろんな周波数の正弦波の組み合わせであるため、まず、正弦波や簡単なディジタル信号の詳細な解析が必要である。本年度の解析では、正弦波およびBPSK信号について、周波数を0.1GHz~3.0GHzまで0.1GHzの刻み幅で変化させ、入射する電磁波の波源が人体正面から0.1m離れた地点で、照射時間を50nsになるように計算を行った。FDTD法のプログラムにおいて、2mmの立方体刻みで計算を行い、周波数ごとの胎児脳内の波形の時間変化の様子を確認し、電波吸収率を求めた。その結果、胎児脳内の電磁波吸収率は周波数に大きな依存性があることを明らかにした。胎児のエネルギー吸収率のピークは1.2~1.5GHz付近、その後周波数を高くすることに伴って吸収率は小さくなり3.0GHzではほぼ吸収されていないことが分かった。このように、ある特定の周波数の信号の吸収率が高くなったことの理由として、信号の波長、人体の形や大きさによって、ある周波数で共振現象が起こっていることが考えられる。そのため、周波数範囲を広げて、詳細に調べる必要がある。また、全ての周波数において、波の立ち上がりのところで高い吸収率となっている。このことから、ディジタルパルス信号は、急な立ち上がりや立下りを繰り返す信号であるため、正弦波のような変化が緩やかな信号より、人体に吸収されやすいことが予測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた妊娠モデルの詳細解析が予想以上に時間を要し、研究計画に遅れが生じている。また、今までの研究結果から新たな知見が得られたため、計画見直し、更なる研究解析を実施する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策として、日常的によく使われる携帯電話などの通信方式(ディジタル電磁波を含む)や周波数を考慮し、12GHzまでの幅広い周波数帯域での成人男女モデルおよび胎児の電磁波吸収率の解析を行なう。また、電波の照射方向を変えたときのシミュレーションも行う。結果を国際会議等を通して発表をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だった高周波領域の波形を観測可能な高周波オシロスコープの価額がどうしても予算超過のため、やむを得ず次の年度に購入することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
GHオーダの高周波を測定できるオシロスコープを購入する予定である。11月に、The 39th PIERS in Singaporeで研究の成果発表を行う。
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