研究課題/領域番号 |
25350537
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中村 博亮 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60227931)
|
研究分担者 |
上村 卓也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 病院講師 (10597321)
高松 聖仁 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (30295688)
岡田 充弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40309571)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | iPS細胞 / 人工神経 / 末梢神経 / 再生医療 / FGF / ドラッグデリバリーシステム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自家神経移植に匹敵する末梢神経欠損の治療デバイスの開発であり、再生医療の3要素「Scaffold」「Cell」「Growth factor」のすべてを満たした次世代のハイブリッド型人工神経を作製することである。 平成25年度は、Scaffoldとして我々が開発中の生体吸収性ポリマーチューブ(人工神経)を選択した。CellとしてマウスiPS細胞(iPS-MEF-Ng-178B-5)から分化誘導した第2世代神経前駆細胞塊(ニューロスフェア)を選択した。Growth factorとして末梢神経再生の促進作用を有する線維芽細胞増殖因子(Basic fibroblast growth factor; bFGF)を選択し、人工神経への生着能とGrowth factorの徐放能を向上させるためにドラッグデリバリーシステムを導入した。 iPS細胞由来の第2世代ニューロスフェアをin vitroで人工神経に播種(4,000,000個/本)し生着させた。その後、ドラッグデリバリーシステムの担体であるゼラチン5mgにbFGF100μg含有させて、bFGF含有ゼラチンを人工神経に追加で充填した。以上により、iPS細胞由来神経前駆細胞とbFGFを付加したハイブリッド型人工神経が完成した。 このハイブリッド型人工神経を用いて、マウスの坐骨神経欠損(5mm)の神経再生を行った。1)人工神経単独、2)iPS細胞由来神経前駆細胞を付加した人工神経、3)bFGFとiPS細胞由来神経前駆細胞をともに付加した人工神経、4)自家神経移植の4群で神経再生をおこなったところ、移植後12週では4), 3), 2), 1)の順に優位な神経再生を認め、またマウスの下肢機能回復も同じ順番に回復を示した。以上より、CellとGrowth factorを付加した人工神経は、人工神経単独よりも、また細胞成分のみを付加した人工神経よりも、末梢神経再生が促進し、自家神経移植の神経再生に近づいた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究計画書に記載したとおり、平成25年度はScaffold(人工神経)、Cell(iPS細胞由来第2世代神経前駆細胞)、Growth factor(bFGF)の3要素を複合した次世代のハイブリッド型人工神経の作製を行った。また平成26年度は、実際にマウスの坐骨神経欠損モデルに対して、作製したハイブリッド型人工神経を用いて末梢神経再生を行った。人工神経単独よりも、またiPS細胞由来神経前駆細胞を付加した人工神経よりも、bFGFとiPS細胞由来神経前駆細胞の両者を付加した人工神経の方が、移植後の神経再生およびマウスの下肢機能回復が有意に促進した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、bFGFとiPS細胞由来神経前駆細胞の両者を付加したハイブリッド型人工神経による末梢神経再生のメカニズムについて解明を行い、自家神経移植の神経再生により近づいたハイブリッド型人工神経を作製する。
|