研究課題/領域番号 |
25350553
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
麓 伸太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (70380988)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遺伝子・核酸工学材料 / 遺伝子導入機構 / エンドサイトーシス / 細胞間差 / リポソーム / 高分子 |
研究実績の概要 |
我々は非ウイルス性ベクターを用いたin vivo遺伝子導入法の開発並びに遺伝子導入機構の解析を行ってきた。これまでの解析により、in vivo遺伝子導入において、遺伝子導入効率に著しい細胞間差が存在することを明らかにしている。そこで本研究においては、非ウイルス性ベクターによる遺伝子導入において細胞間差を生じる機構を解明する。現在、細胞取り込み過程に着目し解析を行っている。昨年度、共焦点レーザー顕微鏡およびイメージベースサイトメーターを用いて複数のエンドサイトーシス活性の同時評価を行い、細胞ごとに活発なエンドサイトーシス経路が異なることが示唆されている。このエンドサイトーシスの細胞間差が、非ウイルス性ベクターによる遺伝子導入における細胞間差を生じる要因の一つと考えられる。本年度は、同評価系により細胞周期に関して解析を行った。解析にあたり、ヒト肝ガン由来細胞株HepG2を用い、薬剤による同調実験を行った。ノコダゾールでM期に同調させたところ、エンドサイトーシス活性に大きな変化はみられなかったが、ヒドロキシウレアでS期に同調させたところ、トランスフェリンの細胞取り込みが増大する傾向がみられた。 一方、非ウイルス性ベクターが遺伝子発現に至るためには、核に送達される必要があり、細胞周期に関する解析を行うにあたり、細胞取り込みと遺伝子発現に乖離がある可能性が考えられた。そこで、カチオン性リポソームに核移行を促進するペプチドを添加することで遺伝子導入効率の増大を試みたところ、HepG2細胞において遺伝子発現に至る細胞の割合を平均3倍程度増加することができた。平成27年度は、この系により細胞取り込み活性と遺伝子発現の相関を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度立ち上げた、複数の細胞取り込み経路の活性を同時に評価する実験系を用いて、細胞周期の影響を解析することができた。また、最終年度に向けて、遺伝子導入ベクターの細胞間差を解析する準備も整った。
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今後の研究の推進方策 |
イメージベースサイトメーターは同時に2色解析可能であったが、加えて7色同時に解析可能なセルソーターを導入し、複数のエンドサイトーシス活性をモニターしつつ、個々の細胞における細胞周期を同時に解析する実験系を計画し、計画のスピードアップを図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は1万円程度で昨年度の繰越額よりも減っており、概ね計画的に執行していると判断する。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額で試薬を購入する予定である。
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