研究課題/領域番号 |
25350557
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
古薗 勉 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (30332406)
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研究分担者 |
東 慶直 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (90333509)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナノ材料 / ハイドロキシアパタイト / 銀 / 抗菌性 |
研究実績の概要 |
周辺組織への細胞毒性を最低限に抑え、長期に渡り微弱な抗菌効果を長期間に渡って発現する新規材料を創出することを目的とする。具体的には、感染防止の技術ポイントである①皮膚刺入部および②血管内留置部における細菌付着・増殖を抑制するナノ材料の創出を目指す。まずHAPナノ粒子に抗菌活性を有する銀イオンをドープする(Ag-HAp)。当該ナノ粒子より徐々に銀イオンを放出することで、急性細胞毒性の大きい銀化合物(例えば、硝酸銀や抗菌カテーテルに用いられるスルファジアジン銀など)に比較して、微弱な抗菌性を長期間に渡り維持させることにより、細胞毒性を制御した抗菌マテリアルが創出可能となる。 平成26年度の課題は、①Ag-HApナノ粒子の合成および銀イオン徐放挙動の評価、および②病原性微生物の付着性および増殖性の検討を行った。【課題①】初年度において確立した合成法を用いてAg-HApを調製した。得られた粉末状のAg-HApを37℃にてPBS中に浸漬し、32週間(8ヶ月間)、Agイオンの溶出挙動を評価した。その結果、未焼成Ag-HApでは16週目で溶出率約50%で飽和した。一方、焼成Ag-HApでは4週目で約20%溶出し、その後徐々にAgイオンが溶出し続ける結果を得た。【課題②】未焼成(as prepared)Ag-HAp(Ag含有率1.5mol%)、融着防止剤無しAg-HAp(Ag含有率1.5mol%)および融着防止処理Ag-HApナノ粒子(0.5mol%)を大腸菌へ添加することにより、抗菌性評価を行った。その結果、いずれの材料においても90%以上の殺菌率が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該プロジェクトの最大課題であったCaよりイオン半径の大きいAgをHApにドープしたナノ粒子を合成することに成功し、さらにAgイオンの溶出試験まで適応することができた。溶出試験32週までの結果、焼成したAg-HApではAgイオンの徐放挙動が認められ、長期に渡る弱い抗菌性の発現が期待できた。また、Ag-HAp粉末添加法による大腸菌を用いた抗菌性試験の結果、90%以上の抗菌効果が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、将来的に長期留置型カテーテル表面に当該Ag-HApをコーティングすることを念頭に、①高分子シートへの複合化法の検討、②複合シートからのAgイオン放出挙動の評価、③動物細胞の接着性・増殖性評価、および④マウス体内における炎症性の評価を行う。
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