研究課題/領域番号 |
25350564
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
高橋 正和 山梨大学, 総合研究部, 教授 (20403446)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 組込みソフトウェア / 故障モード影響解析 / 故障木解析 / リスクマネジメント / 医薬品製造 |
研究実績の概要 |
はじめに組込みソフトウェア向けの故障木解析手法の改善と支援ツールの試作を行った.故障木解析手法では広域変数と割込みに関する故障木のテンプレートを作成し、既に作成してあった判断、繰り返し、代入等の故障木テンプレートと組み合わせて、故障木解析をできるようにした.さらに、手動で故障木を作成する際の実施手順を規定した.支援ツールの試作では、C言語で記述されたプログラムを入力すると、規定した故障木解析の実施手順に則って機械的に故障木を作成するツールを作成した.作成された故障木には途中結果の省略がないため、故障木の規模が大きくなるが、判読が容易となる.この結果により技術者の能力に依存せずに故障木解析を実施できるようになった. 昨年までに開発した組込みプログラム向けの故障モード影響解析と故障木解析を組み合わせたリスクマネジメントの手順を規定し、その手順の一部について支援ツールを試作した.提案したリスクマネジメント手順では、要求定義から機能定義の段階において故障モード影響解析を用いて、故障の原因とその結果生じる故障事象を網羅的に検討する.さらに、故障事象の重大性を評価して、重大な故障に対してリスク低減策を提案し、要求と機能に反映する.次にプログラムが完成した段階で、リスク低減策を施した要求と機能に相当するプログラム部分に故障木解析を行い、故障発生の有無を確認する.もしも、まだ、故障が発生する可能性が高い場合には、要求、機能、プログラムを修正する.この作業を重大故障が発生する可能性が十分に低くなる(許容できるように)なるまで、繰り返し行う.以上の手順により安全な組込みソフトウェアを実現する.支援ツールでは、故障モード影響解析と故障木解析の結果を一元的に管理するデータベースを作成した. そして医薬品製造分野を対象として、上記のリスクマネジメント手順とツールを適用した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リスクマネジメント手順と、それを実現するために必要となる故障モード影響解析手法と故障木解析手法については、ほぼ実用化の目途がついた. 上記を効率的に実施するための支援環境については、個別ツールについては、ほぼ完成しているものの、連携機能については、まだ改良の余地があると言える.そのためには、実際の問題に適用して、その結果を適時、ツール群に反映していくことが必要となる. 現時点では医薬品製造に関わるソフトウェアの分野に対して適用して評価を行っているが、他の適用する分野についても検討を開始した.その結果、研究代表者が開発経験を有する航空宇宙、プラント、高度道路交通等を対象として各種手法とツール群の適用を行い、その結果をもとに研究成果全体を改善していくこととした.
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今後の研究の推進方策 |
開発したツールの改良を行い、個々のツールが適切に連携して適切、かつ、効率的にリスクマネジメントを実施できるようにする.さらに、ツール間の情報を共有化するためのデータベースの改良を行っていく. 医薬品製造分野に加えて、航空宇宙、プラント、高度道路交通等の分野に対して、提案手法と試作ツールの適用を行い、適用の可否を評価する.さらに、適用が否であったものに対して、その理由を分析する.これにより、提案手法と試作ツールの適用限界を明らかにするとともに、今後開発する改良型のツールに対して改善点の情報提供を行う. 上記の結果をもとに全ての分野に共通なリスクマネジメント手法の部分と分野毎にカスタマイズしなければならないリスクマネジメントの部分を明らかにする.そして共通部分と分野毎の部分のリスクマネジメントの手法を組み合わせた、リスクマネジメント手法を提案する.
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次年度使用額が生じた理由 |
論文掲載にかかる費用を残していたが、平成26年度中に掲載が決定しなかったために、使用できなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に論文の掲載が決定した場合、直ちに繰り越した費用を執行する.
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