研究課題
本研究の目的は,冠動脈MRAにおける冠動脈狭窄の検出を支援するコンピュータ支援検出(CADe: Computer-aided Detection)システムの基礎研究を行い,その臨床応用への可能性を検証することである.前々年度,冠動脈MRA像に最適化した超解像技術を開発し,空間解像度不足から冠動脈末梢部が不鮮明に描出される問題を解消した.そして,前年度,冠動脈の信号強度と径の変化に着目した狭窄部位検出アルゴリズムを開発し,有意狭窄(50%以上)の感度76.6%,1患者あたりの偽陽性数2.35が得られた.本年度は,まず,AHA(American Heart Association)分類ごとに正常信号値モデル,正常径モデルを構築し,正常モデルと比べて信号値が急激に減少する箇所,径が急激に縮小する箇所を狭窄部位として検出することにより,前年度の狭窄部位検出アルゴリズムの改良を実施した.その結果,有意狭窄(50%以上)の感度87.2%,1患者あたりの偽陽性数1.83が得られた.次に,冠動脈狭窄の検出診断におけるCADeシステムの有用性を評価するため,観察者実験を実施した.Receiver Operating Characteristic解析の結果,ROC曲線下の面積は,CADeシステムを使用した場合0.875,使用しなかった場合0.810が得られ,CADeシステムを使用することにより医師の検出診断能が有意に向上する結果が得られた(P = .035).
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J Cardiovasc Comput Tomogr.
巻: online ページ: 1-8
10.1016/j.jcct.2016.01.008