研究課題
近年ストレスチェックが職場で行われ、精神面から生活習慣病や心血管疾患の発症予防に配慮がなされている。しかし、精神的ストレスの重症度の評価にはまだ確立されたグレーディング法はないのが現状である。今年度は高血圧薬物治療を目的に1年以上通院中の高血圧患者に①精神的ストレスの有無,②精神的ストレス重症度(最低1~最高10までの10段階)についてアンケートを行った。血圧,心拍数はアンケート実施日以前1年間の外来受診日の診察室血圧をカルテ記載から平均値を計算し,アンケート実施日も含めて以前の1年以内の最低3回以上の血圧の平均値が得られた患者50例(男性24名,女性26名,年齢71±9歳,43~92歳)を解析した。ストレス重症度は血圧,心拍数と相関しなかったが,年齢との間には有意な負の相関が認められた(r=-0.433, p=0.002)。ストレス無しと答えた患者の重症度は平均3.2±1.1,ストレス有りと答えた患者では平均5.4±1.1であった。ストレス無しと答えた患者は重症度を3と自己評価し、ストレス有りと答えた患者は重症度を5と自己評価することが多かった。高血圧外来患者において精神的ストレスは血圧コントロールには影響しないと思われた。高齢高血圧患者は若年患者に比較して精神的ストレスは少ない状態であることが明らかにされた。
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日本病院総合診療医学会雑誌
巻: 12 ページ: 1-5