研究課題
本研究は、追従開始直前にスキャンして記録した患部周辺の微小範囲の超音波3Dデータと追従中に観測した2Dデータのマッチングにより、通常の2D超音波プローブのみで構成する3Dビジュアルサーボの性能を生体の治療、特に肝臓の集束超音波治療に適用可能な程度に高めることを目的としている。H28年度は、追加のセンシング機能を搭載し、ソフトウェアを改良することによりトラッキングエラーを小さくする研究を行った。ビジュアルサーボ系においては画像の取り込みや画像処理によるレイテンシが無視できない程度に存在すること、また可動部を軽量にする設計をしているものの必ずイナーシャが存在することから、時間遅れを伴うサーボ系となる。このため、追従誤差はフィードバック系を用いる限り、対象物の移動速度と時間遅れから求まる一定値より小さくすることができない。これを解決するため、肝臓の位置は被験者の呼吸によって定まると仮定し、呼吸を患者が口にくわえるフローセンサにより検知してフィードフォワード系を組み、追従誤差の縮小を図った。この結果、特に呼気吸気開始時の追従誤差を飛躍的に縮めることができた。また、ハードウェアに関してはロボットの安全性を高めるため、定加重ばねを用いた全軸の完全自重補償の追加により、モータへの定常負荷を減らす、姿勢3軸へのアブソリュートエンコーダの付加により追加の誤動作検知機能を持たせる、等の改良を行い、臨床応用に適した実験機を完成させた。
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