研究課題/領域番号 |
25350571
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
小林 正樹 東北工業大学, 工学部, 教授 (90332981)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生物・生体工学 / 生体医用光学 / 医用画像 / 蛍光色素 / 超音波 / 化学発光増強 |
研究実績の概要 |
本研究では生体内の構造・機能計測のための造影剤として広く用いられている,蛍光色素インドシアニングリーン(ICG)による生体内部の可視化技術の開発を行う。平成25年度までの研究では,集束超音波による局所的蛍光強度変調を利用して散乱媒質内の光空間情報を取得する超音波タグ蛍光画像検出技術の高感度化技術の研究開発を行い,ゲート式単一光電子計数法に基づくディジタル的光変調検出に基づくシステムの構築とゲートパラメータの最適化検討を通じ,標準光散乱系でゲート条件に依存した蛍光変調光成分の検出と画像化の可能性を示したが,目標とする散乱媒質濃度において十分な感度が得られないという課題があった。 平成26年度では,その問題を解決し,より高散乱濃度下での画像検出を実現する計測法の検討・探索を行った。その結果,化学的励起による蛍光検出法を見出した。蛍光色素への励起エネルギー移行を含む化学発光系を用いることで,超音波と化学発光反応系の相互作用を利用した画像計測が可能であることがわかった。生体非侵襲計測上安全なレベルの超音波パワー照射において,光散乱媒質内部での超音波による化学発光増強を確認し,超音波焦点の2次元走査により生体組織と同等な散乱係数をもつ光散乱媒質においてイメージングが可能であることを示した。超音波による発光の増強量が発光強度に比例すること,空間分解能が散乱媒質濃度に依存しないことなど,新しい生体トモグラフィー技術として有用であることを示し,その成果はApplied Physics Letter(http://dx.doi.org/10.1063/1.4905660)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,目標とする光散乱媒質濃度,深度での断層画像化の目途が立ち,その成果を速報誌にて公表することができたことから,進捗状況は順調と判断される。
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今後の研究の推進方策 |
実際の生体組織を用いた検討を行い,生体系での画像化性能を評価し,プローブ化など実用化への技術課題の整理と解決方法について検討を行う。最終年度として研究成果の取り纏めなど総括を行い,同時に実用装置化に向けた第2フェーズの研究計画を準備していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験器具の改造にかかわる費用を予定していたが,管財課への購入要求締め切りが2月6日に設定されていたため,設計がその時点に間に合わず平成26年度内での実行ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度予算での購入要求ができる4月1日以降即座に実行した。本件による研究の遅滞は発生していない。
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