研究課題
基盤研究(C)
本年度の目標は、培養細胞を用いた実験系の確立としている。本年度は培養細胞用磁場曝露装置を用いた生細胞数測定・アポトーシス試験の実験系の確認および次年度実施予定試験の準備にあたる遺伝子クローニングを行なった。1.ヒト正常気管支上皮細胞(BEAS-2B)、ヒト肺腺がん由来細胞(A549)およびヒトTリンパ細胞(Jurkat)を用いた、交流磁場曝露が培養細胞に与える影響および磁場曝露併用によるシスプラチン薬理作用増強効果の測定 呼吸器系上皮細胞とTリンパ細胞の3細胞株を用いて、商用交流周波数(60Hz)磁束密度最大50mTの交流磁場を印加したときの細胞障害性を生細胞数測定(MTT法)およびアポトーシス試験(アネキシンV-ヨウ化プロピジウム法)にて解析した。2.シスプラチン耐性を安定的に示す培養細胞株の樹立 これまでの大腸菌を用いた検討では交流磁場曝露併用によりシスプラチン殺細胞効果が増強した。そのメカニズムとして細胞膜透過性の亢進を考えている。シスプラチン耐性のメカニズムには薬剤の細胞内取り込みおよび排出を担うトランスポーター異常などが知られており、本研究期間内にはこれら遺伝子発現を改変した薬剤耐性培養細胞の樹立を目指している。本年度はトランスポーターを含む4遺伝子(全てヒト遺伝子)をクローニングした。
2: おおむね順調に進展している
1.培養細胞を用いた実験系の確立 呼吸器系上皮細胞(BEAS-2B, A549)とTリンパ細胞(Jurkat)の3細胞を対象にした磁場曝露影響を測定する実験系を確立した。生細胞数測定には、MTTおよびヨウ化プロピジウム(PI)を用いた実験系を採用した。アポトーシス解析はアネキシンV-FITCにて初期アポトーシスを検出する実験系を採用した。交流磁場(60Hz, 50mT)磁場曝露における上記3細胞に対する細胞障害性の有無および磁場曝露併用がシスプラチン薬理作用に与える影響についての予備検討を行なった。実験系の確立において、初年度の目標は概ね達成したと考える。2. シスプラチン耐性を安定的に示す培養細胞株の樹立本年度は薬剤耐性に関与する4遺伝子をクローニングした。薬剤耐性遺伝子のクローニングにおいて、初年度の目標は概ね達成したと考える。
1.呼吸器系上皮細胞(BEAS-2B, A549)とTリンパ細胞(Jurkat)の3細胞を用いた磁場曝露併用による薬理作用増強効果の測定 今年度実施の予備検討結果をもとにシスプラチンの薬理作用増強効果をより強く示す磁場曝露条件を決定し結果を得る。2.シスプラチン耐性培養細胞株の樹立 これまでにクローニングした薬剤耐性遺伝子を安定株作成用発現ベクターまたはノックアウトベクターに導入し、BEAS-2B細胞に形質転換することでシスプラチン耐性培養細胞株を作成する。3.シスプラチン耐性培養細胞株を用いた磁場曝露併用による薬理作用増強効果の測定 作成したシスプラチン耐性細胞株を用いて、上記1.と同様に結果を求める。これにより遺伝的背景による磁場曝露影響の比較を行う。
研究分担者実施中の新規交流磁場曝露装置の作成において、部品調達の遅れがあるため。新規装置作成のための部品購入代金に使用する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件)
Journal of Applied Physiology
巻: 115 ページ: 1119-1125
10.1152/japplphysiol.00326.2013
分子呼吸器病
巻: 17 ページ: 143-145