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2014 年度 実施状況報告書

体内埋め込み型医療機器のMR安全性評価のためのFDTDによる電磁界・温度解析

研究課題

研究課題/領域番号 25350583
研究機関神戸大学

研究代表者

熊本 悦子  神戸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00221383)

研究分担者 黒田 輝  東海大学, 情報理工学部, 教授 (70205243)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード磁気共鳴診断装置 / MR安全性 / 電磁界解析 / 温度解析 / 体内埋め込み型医療機器 / FDTD / FEM
研究実績の概要

本研究は,ペースメーカなどの埋め込み型医療機器が体内に埋め込まれている場合の磁気共鳴診断装置の勾配磁場やRF磁場により誘発される体内の電磁界を解析し,コンピュータシミュレーションに基づくMR安全性評価を行うことを目指している.
本年度は昨年度に引き続き,勾配磁場およびRF磁場の磁場解析および温度解析を行い,その振る舞いを考察した.頭部撮像の際の胸部に配置された心臓ペースメーカの人体との相互作用による危険性を考察した.ASTM規格による人体ファントムモデルに,銅の円形コイルおよびらせんとねじれ形状のリードを埋め込んだモデルに対して,電磁界分布を導出した.円形コイルは直径80mm, 幅5mm, 厚さ1mであり,リードは長さ150mm, 直径2mmとし,らせんの半径は40mm, ねじれはリードの1箇所にあるものとした.この時勾配磁場の周波数は500Hz, スルーレート40mT/mとした時のSAR(比吸収率)を求めた.円形コイルはコイルを貫く鎖交磁束に対しSARはほぼ線形に増加し,SARの最大値は0.0219(W/Kg)であった.また,らせんのリードでは,リードの先端で最大値0.40(W/Kg), ねじれでは,リードがループしている部分で最大値となり,その値は0.00522(W/Kg)であった.
さらに,人体モデル(Duke, Virtual Population, IT’IS Foundation)に心臓ペースメーカを埋め込んだモデルに対し,頭部撮像におけるペースメーカ付近の勾配磁場およびRF磁場による電磁界分布を導出した.勾配磁場においては,ペースメーカとの接続部のリード付近でSAR最大となり,RF磁場では,下顎付近でSAR最大となった.SARの最大値は2.4E-09(W/Kg)であり,安全とされている2(W/Kg)やRFの8.61E-04(W/kg)を大きく下回り,発熱による危険性は非常に少ないと考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

磁場解析ソフトウェアを導入し,RF磁場および勾配磁場の基礎的解析に着手し人体モデルを用いた電磁界分布の導出および様々なインプラントの形状に対するミュレーションが可能となり,MR安全性評価のための基本的な手法についての準備がほぼ整った.一方,RF磁場および勾配磁場の解析手法の結果を合成する際の,双方の結果の妥当性を検証方法についてはまだ検討中である.

今後の研究の推進方策

最終年度にあたる今年度は,解析対象のインプラントやRFコイル,勾配磁場コイル等情報を入手し,具体的な対象に対して解析を進め,MR安全性評価を行う.

次年度使用額が生じた理由

計画通り必要な経費を使用したが,少額の余剰が生じた..

次年度使用額の使用計画

生じた余剰について,翌年度分と合わせて計画通り使用する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Evaluation of the magnetic properties of cosmetic contact lenses with a superconducting quantum interference device2014

    • 著者名/発表者名
      Kuroda K, Shirakawa N, Yoshida Y, Tawara K, Kobayashi A, Nakai T
    • 雑誌名

      Magn Reson Med Sci

      巻: 13 ページ: 207-214

    • DOI

      10.2463/mrms.2013-0059

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 体内埋め込み型医療機器のMR安全性の現状と展望2014

    • 著者名/発表者名
      黒田 輝
    • 雑誌名

      電子情報通信学会信学技法

      巻: 114 ページ: 141-144

  • [学会発表] ASTM及びISO基準に基づく体内埋め込み型医療機器のMR安全性評価2015

    • 著者名/発表者名
      黒田 輝
    • 学会等名
      日本磁気共鳴医学会第19回安全性講演会「MRI安全性の考え方」
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-03-20
    • 招待講演
  • [学会発表] 「体内埋め込み型医療機器のMR安全性の本質に迫る」ならびに 実習「MRIの電磁界を体と式で感じてみよう! 」2014

    • 著者名/発表者名
      黒田 輝
    • 学会等名
      第1回MR医療安全セミナー
    • 発表場所
      島根
    • 年月日
      2014-11-01
    • 招待講演
  • [学会発表] 体内埋め込み型医療機器のMR安全性ー勾配磁場による発熱のシミュレーションー2014

    • 著者名/発表者名
      堀之内省吾,熊本悦子,黒田輝
    • 学会等名
      第42回日本磁気共鳴医学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-09-18 – 2014-09-20
  • [学会発表] 条件付きMRI 対応埋め込み型不整脈治療デバイス患者のMRI 検査実施条件ガイドラインについて2014

    • 著者名/発表者名
      黒田 輝
    • 学会等名
      第42回日本磁気共鳴医学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-09-18 – 2014-09-20

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公開日: 2016-05-27  

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