研究課題/領域番号 |
25350591
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
須田 千尋 東北大学, 大学病院, 理学療法士 (20645535)
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研究分担者 |
上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698)
伊藤 修 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00361072)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 長期的運動 / 腎障害 |
研究実績の概要 |
我々は5/6腎摘除慢性腎不全モデルラットにおいて、長期的運動が腎保護効果や運動耐容能改善効果などの好影響をもたらすことを報告してきた。また、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)と長期的運動の併用が腎保護効果を増強する可能性も示した。さらに、G-CSFとアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の併用による効果も検討し、G-CSFにARBを併用することで腎保護効果が増強されることが示唆された。 ARBが腎保護効果を増強することに注目し、腎保護効果においてレニン・アンジオテンシン(RA)系が重要な役割を果たすと考え、高食塩食負荷することにより腎組織でRA系が亢進すると報告されているDahl食塩感受性高血圧(Dahl-S)ラットを用い、長期的運動の効果を検討した。 5週齢のDahl-Sラットを用い、6週齢より1)通常食塩食群、2)通常食塩食+運動介入群、3)高食塩食群、4)高食塩食+運動介入群の4群に分け、8週間の介入を行った。Dahl-Sラットは高食塩食負荷により著明な高血圧を発症し、腎機能低下や尿中タンパク排泄量増加を認めた。長期的運動は血圧に有意な影響を及ぼさなかったが、腎機能低下や尿中タンパク排泄量増加を抑制した。また、腎組織でのRA系構成要素のタンパク発現は、Western blot法により解析した。高食塩食負荷により腎組織のangiotensinogen、アンジオテンシン変換酵素、アンジオテンシンII 1型受容体のタンパク発現は増加するが、長期的運動はこれらのタンパク発現増加を抑制する傾向がみられた。長期的運動は高食塩食負荷による血圧上昇に影響を与えなかったが、腎保護効果が得られ、同時にRA系変化を回復する可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は腎組織のRA系に着目しての検討として、腎組織のRA系亢進が報告されているDahl-Sラットを用いての検討を行ったため、当初予定していた5/6腎摘除腎不全モデルラットでの検討がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
計画していた5/6腎摘除慢性腎不全モデルラットの血圧、腎機能、腎病変、その他臓器障害に対する長期的運動や薬剤投与、およびそれらの併用による効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
腎組織のRA系に着目しての検討を行うためDahl-Sラットを用いての実験を優先したため、当初予定していた5/6腎摘除慢性腎不全モデルラットを用いた検討の進行が遅れ、ラットや試薬、抗体、消耗品の使用量が予定より少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
実験動物(ラット)や手術器具の購入、RT-PCR法、Western blot法、ELISA法、組織免疫染色法などの実験に必要な試薬、抗体、消耗品の購入、成果発表の学会参加の旅費に使用する予定である。
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