研究課題
我々は5/6腎摘除慢性腎不全モデルラットにおいて、長期的運動が腎保護効果や運動耐容能の改善効果などをもたらすことを報告してきた。また、高食塩食摂取により著明な高血圧や腎障害を発症するDahl食塩感受性高血圧(Dahl-S)ラットにおいても、長期的運動が腎保護効果をもたらし、同時に高食塩食摂取により亢進した酸化ストレスを軽減させることが認められた。Dahl-Sラットにおいて、酸化ストレスの軽減が実際に腎保護効果をもたらすかどうかを検討するため、酸化ストレス産生源の阻害薬であるxanthine oxidase阻害薬(febuxostat:Fx)とNADPH oxidase阻害薬(apocynin:Apo)の二つを用い、血圧ならびに腎機能への影響について検討した。実験方法としては、8週齢の雄性Dahl-Sラットを、1)通常食塩食摂取群、2)高食塩食摂取群、3)高食塩食摂取+Fx投与群、4)高食塩食摂取+Apo投与群の4群に分け、8週間の介入を行い、断頭採血・腎摘出を行った。Dahl-Sラットでは、高食塩食摂取により著明な高血圧を発症し、血清クレアチニンや尿中蛋白・アルブミン排泄量が増加し、また、活性酸素の発生源である腎xanthine oxidaseならびにNADPH oxidase活性が上昇していた。xanthine oxidaseならびにNADPH oxidase阻害薬であるFxとApoの投与は、高食塩食摂取による血圧上昇や腎機能低下、尿中蛋白・アルブミン排泄量増加を有意に抑制した。これらの結果から、高食塩食摂取下のDahl-Sラットにおいて、酸化ストレスの軽減が腎保護効果に関与することが考えられ、長期的運動による酸化ストレスの軽減は、腎保護効果の機序の一つである可能性が示唆された。
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PLoS One
巻: 10 ページ: e0138037
10.1371/journal.pone.0138037
運動器リハビリテーション
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