3年間で7症例に対し、Hoehn-Yahr分類Ⅲ-ⅣのPD症例を封筒法による無作為抽出にてアトランダムに「PT+OT(3症例)」、「PT+OT+言語療法(1症例)」「PT+OT+カラオケ療法(3症例)」の3群に振り分け、週4日、4週間のリハビリテーションを実施し、平成27年度に解析を行った。結果は3群ともに発話の大きさが自覚的、他覚的に改善した。さらにカラオケ群には発音や発話速度の改善を自覚した症例があり、カラオケ療法により発声リズムの再獲得ができた可能性を考えた。全症例で歩行を中心とした運動機能は改善しており、うつ症状(BDI-Ⅱ)やQOL(SF-36)はの悪化を認めた症例もなかった。症例数をもう少し増やし、統計学的な検討を行い、英文雑誌への投稿を行うことが今後の課題である。 また音声分析を利用した客観的な構音障害の包括的評価方法も検討を行った。 両側視床下部脳深部刺激療法(STN-DBS)後に構音障害が増悪した4症例を対象に音声分析変化の特徴を検討した。STN-DBS施行前と施行1年後に「ア」の持続発声と単音(パ、タ、カ)と音節(パタカ)の繰り返しを音声解析ソフトで解析した。持続発声は持続時間、開始時パワー、終了時パワー減衰率を、単音・音節の繰り返しは繰り返し回数、開始時パワー、終了時パワー減衰率を算出した。結果は、発声持続時間、開始時パワーは大きな変化を認めなかったが、終了時パワー減衰率は増悪した.単音・音節の繰り返し回数は減少し、開始時パワー、終了時パワー減衰率ともに低下した。本検討における単音節繰り返し回数低下と終了時パワー減衰率増悪は、目的音の構音点に構音器官の運動が到達する前に、継続する音を生成するための運動が開始する現象である調音点未到達によるものと考えた。本研究について平成26年度の日本神経リハビリテーション学会、平成27年度の日本神経学会総会で発表した。
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