研究課題/領域番号 |
25350594
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
浦川 将 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 客員准教授 (30445811)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ロボットスーツによるリハビリテーション運用 / MRIによる脳画像の解析 |
研究概要 |
本研究の目的は、脳卒中片麻痺患者に対してロボットスーツHAL (Hybrid Assistive Limbs) によるリハビリテーションを付加的かつ持続的に行い、その効果として脳内ネットワーク機構の変化を検証する。脳内変化の評価には、磁気共鳴画像 (MRI) によって撮像した脳画像を使用し、(1) 安静時機能的磁気共鳴画像法 (resting state fMRI) を用いた機能的結合 (functional connectivity) と、(2) 拡散テンソル画像法 (diffusion tensor imaging) による神経線維の解剖学的ネットワーク (fiber tracking) に着目した、脳内ネットワーク機構の変化を解析することにある。初年度において計画的に実施した研究内容は、 (1) ロボットスーツHALの運用技術の向上と(2) MRI画像解析方法の習得である。 HALの効果的な運用のために、つくば市にあるCYBERDYNE社(HALの運用元)と鈴鹿市にある鈴鹿ロボケアセンターにおいて実施訓練・研修を受け、運用のためのノウハウ習得に努めた。具体的なHALの操作方法に関する技術習得は勿論であるが、どのような機能障害に対してどういったアプローチが用いられているのか、臨床での運用例を通して学ぶことができた。脳画像の解析方法に関しては、BioView株式会社(東京)の協力を得て進めている。具体的には、SPM (Statistical Parametric Mapping) による脳画像処理方法、標準脳への適応、スムージング処理などを経てREST (Resting State fMRI Data Analysis Toolkit) を用いた安静時の機能的結合を評価する方法や、拡散テンソル画像の解析にはFSLソフトウェアによる解析方法を習得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳卒中片麻痺患者へのロボットスーツHALによるリハビリテーション実施のために、必要な準備を行ってきた。実施予定の高志リハビリテーション病院(富山県)のリハビリテーションスタッフと放射線技師、医師との協議を重ね、実施のための環境を整えている段階である。研究協力先であるアルペンリハビリテーション病院(富山県)においても、連携のための協議を重ね、協力体制を確立した。HALの操作技術に関しては、何度も研修を繰り返して技術向上に努めた。MRI解析に関してもMRI画像解析を専門に行っているBioView株式会社との研究打合せを重ね、画像処理・解析方法の習得を目指した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、実際の患者へのリハビリテーション実施を計画している。研究に必要な倫理審査等を進めて行く。 ロボットスーツHALを導入し、リハビリテーションスタッフと協力しながら約2か月に渡るリハビリテーションを実施し、HALによるリハビリテーション開始前と後の変化を、歩行などの機能面の変化と脳画像による脳の構造変化に関して検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画では、ロボットスーツHALを用いたリハビリテーションを遂行するために、高志リハビリテーション病院(富山県)へ初年度からHALを導入する計画であったが、限られた予算を有効に使いたいために、実際のリハビリテーション遂行とその評価の方法に時間を費やした。本研究において大きな経費がかかるHALの導入とレンタルに関しては次年度以降にずらすことにした。 平成26年度と平成27年度の2回にわけて、ロボットスーツHALをレンタルする。脳機能改善効果の検証のため、MRIによる脳画像を取得し、DTI解析と安静時脳機能結合の解析を進めて行く。その効果を検証した結果を、学会等で発表する予定である。
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