研究課題/領域番号 |
25350597
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 純栄 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70454410)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 作業療法 / 精神障害 / 治療的作業活動 |
研究実績の概要 |
治療的作業活動の性質を脳機能の側面から解明する試みをおこない,国際学会にてその生かを発表し,専門家の指摘を得た.発表した内容は以下の通りだった. 亜急性期および回復期前期の対象者には,精神症状の軽減等を目的にした作業活動が提供される.その活動は,繰り返しの動作があり,主に身体感覚を用い,新たな知識や技能を必要としないという特徴を持つ.このような活動の性質が前頭葉皮賦活にどのような影響を与えるかを調べるため予備的実験を行った.2つの作業活動課題遂行時の酸化ヘモグロビン濃度を測定し,課題間で脳活動の違いを調査した.さらに,2つの課題の印象を調べ,印象と各課題時の脳活動との関係性を調べた.対象者は右利き健常者35名であった.彼らは近赤外分光分析法装置を装着した状態で,粘土を丸めて線上に置く課題(単純課題)と丸めた粘土で人の顔を点描化のように描く課題(創造的課題)を行った.その後,各課題の印象を答えた. 創造的課題は単純課題と比べ,有意に前頭葉賦活が大きかった.創造的課題の前頭葉賦活は,“(課題遂行時に)迷った”という印象との間で正の相関が認められた.結果から,2つの課題間では脳活動の負荷において違いがあり,より負担が大きい課題は“迷った”という印象と関連が認められた.精神科作業療法において,気分障害や統合失調症によって,前頭葉機能障害が日常生活に影響を及ぼす時期の対象者には,脳活動への負荷が少ない課題が相応しいだろうと推測できた.脳状態と対象者の主観の間に相関が認められたことは,根拠にもとづく精神科作業療法の解明につながる一方で,対象者が健常者であることの限界もあった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験的な取り組みについては成果発表の準備に入っている.しかし,臨床データにおいては,対象者のリクルートが進まず,データ数が整っていない.
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今後の研究の推進方策 |
実験的な取り組みに関しては,論文作成を進める. 臨床データを用いた課題に関しては,数値だけでなく,カルテや専門職らから得られる言語データの収集を行い,本計画内で得られた総データ内で述べられる根拠を元に次の段階に進むための準備を始める.
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次年度使用額が生じた理由 |
収支報告において,officeソフトを二重に計上していたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に同様のソフトを購入する.
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