高齢者が生活の中で惹起される回想が生じる刺激や経験を検討し、匂い刺激に対する回想経験を有する者ほど、肯定的な回想を行う傾向にある知見を示した。次に、地域在住高齢者を対象に匂い刺激を用いた回想法を実施し、抑うつおよび認知症の予防に対する効果を検討した。介入群は匂い刺激を用いた回想法を8回実施し、対照群は会話のみによる回想法を実施した。評価は、抑うつと認知機能の検査を用い、介入前と介入終了後に行った。結果、匂い刺激を回想刺激として用いた回想法は、会話のみで行う回想法よりも、地域在住高齢者の精神的健康維持に有用で、回想刺激の有無にかかわらず回想法は認知機能の向上をもたらす可能性が示唆された。
|