研究課題
26年度に引き続きデータの収集を行なった。特に施設入所者を中心に実施した。入所者の平均年齢も85歳以上であったことから、検査のオリエンテーションや検査の実施が困難な高齢者も多く、さらにはセンサ装着の拒否等もあって、50人の施設入所者のデータを収集できた。検査としては、30秒間の唾液の嚥下回数と、唾液・水10cc・ゼリー10gそれぞれの嚥下時の舌骨・甲状軟骨・鼻呼吸についての器官の動きをセンサにより抽出した。唾液と水嚥下については類似した波形が認められたものの、検査物動態のコントロールが不可能な水嚥下については、舌骨・甲状軟骨・鼻呼吸の波形間にずれを認める対象者がいた。ゼリー嚥下については対象者全体が切迫的に口腔に取り込む傾向が認められた。切迫的行為は誤嚥の誘発因子として高い確率が報告されていることから、26年度に収集した健常高齢者や健常成人のデータと比較を行なう必要性があることが示唆された。さらにゼリー嚥下は、多くの対象者が一回では嚥下できずに舌骨・甲状軟骨・鼻呼吸の波形が複数回出現する傾向にあったため、一回の摂取後にどの波形時に多くを嚥下しているかの特定が困難であることも、本研究遂行における今後の問題点であると考える。本研究課題のひとつとしていた①舌骨と甲状軟骨の一致や不一致の意義の検証、ならびに、②嚥下と呼吸の一致と不一致の意義の検証についての結論として、①はすべての対象者で一致性が確認できたことから、今後はどちらか一方の動きを検証することで意義はあることが示唆された。②については鼻呼吸の検出に対象者の違和感が多いことから、鼻以外で嚥下と呼吸の一致性や不一致性を検出できるようにすることが今後の課題である。
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