研究課題/領域番号 |
25350606
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
末吉 靖宏 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (30196688)
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研究分担者 |
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30325782)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脳卒中 / 片麻痺 / 歩行訓練 / 振動刺激 / 身体装着型 / ウェアラブル / リハビリテーション / モーションセンサ |
研究概要 |
脳卒中によって生ずる片麻痺の状態から自立した歩行機能を回復するための訓練方法を見出すことは重要な課題であり、患者が自律的に行える歩行訓練支援システムが切実に求められている。本研究では、このような歩行訓練支援装置を歩行訓練患者自身の身体に装着することにより、患者自身が歩行訓練を実施できるような歩行訓練支援装置の開発を目指す。システムを身体装着型とするためには、装置の小型化が必須である。システムの制御には超小型PCを用い、また、装置のインターフェイスには、タッチパネル式携帯端末を用いることにより、このようなシステムの実現をはかる。 本年度は、システム全体のコントローラの作製とシステムへの導入を念頭にジャイロセンサに基づく歩行改善度のリアルタイム評価に向けての基礎的研究を行った。システムのコントローラとなるWi-Fiコンバータを作製したが、このコントローラは足底に貼付した荷重センサ信号、および下肢に装着するジャイロセンサ信号を無線で受信することができ、また、操作は今後製作予定の小型携帯端末を用いて無線で操作する計画である。 また、ジャイロセンサを用いて、歩行の改善度をリアルタイムで評価するための基礎的研究を行った。まず、モーションキャプチャとの比較によりジャイロセンサの精度を検討したうえで、下肢装着のジャイロセンサから下肢の動きを算出し,さらにその左右差並びに同一肢における動作の一貫性について相互相関係数を用いて評価する方法について検討した。脳卒中片麻痺患者に適用したところ,ジャイロセンサから得た歩行活性度指標(角速度の「最大値」,「最大値と最小値の差」,「歩行全体にわたる標準偏差」)が歩行速度と高い相関を示し,また,健側-患側肢間の「対称性」では,下腿角速度に左右差がみられ,片麻痺患者の麻痺程度を示す可能性の高いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
システムコントローラーの作製は終えているものの、制御プログラムや携帯端末でのユーザーインターフェイスプログラムなどの課題を残しているため。
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今後の研究の推進方策 |
身体装着型歩行支援システムの完成に向け、まずは、荷重センサ信号に基づき歩様に合わせた振動モーター駆動のプログラムを完成させる。次に、携帯端末を用いたシステムのユーザーインターフェイス部プログラムを作成しシステム基幹部の完成を目指す。また、ジャイロセンサ信号を用いた歩行改善度のリアルタイム評価について検討し、インターフェイスプログラムの組み込みを目指す。さらに、脳卒中片麻痺患者に対してシステムを適用し、歩行改善に及ぼす即時効果の検証を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
歩行支援システム装置全体の完成が遅れているため、実験計測のための人件費・謝金や学会発表のための旅費を使用しなかったため。 装置の完成を急ぐための装置構成物品や計測用カメラなどの物品費および一部プログラム外注のための謝金に使用する計画である。
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