研究課題
温熱療法で加温された腫瘍組織での免疫に関する環境はどのように変化するのだろうか。また、癌細胞内では、転移・浸潤の関与しているEMT についても検討を加えた. 【研究方法と結果】1)新規免疫療法「Naive T細胞リッチT細胞移入療法」の進行消化器癌・肺癌に対する第1相臨床試験:標準治療後の残存あるいは再発症例の消化器癌・肺癌で文書同意の得られた20歳以上80歳未満でPSが0-2の症例9例を対象とした。全9症例に重篤な有害事象は認めなかった。治療効果は奏効率22 %、 病勢コントロール率は66.6 %であった。2)癌免疫監視機構についての動物実験:Balb/cマウスの背部にcolon26を皮下移植し、形成した腫瘍に、43℃・1時間温熱処理を行い、24時間後に腫瘍を摘出し、腫瘍内のIL-10, TGF-beta, VEGFをRT-PCRおよびWB法で、また、腫瘍内のTregをIHCおよびFoxp3のWB法で評価した。温熱処理により、腫瘍内のIL-10, TGF-beta, VEGFの発現量は、有意に低下した。腫瘍内のTreg(Foxp3陽性リンパ球)数は、腫瘍の増大により増加したが、温熱処理によりその数は有意に低下した。3)ハイパーサーミアのEMTへの影響:ヒト膵癌細胞株と大腸癌細胞株を用いて、TGF-b刺激で誘導されるEMTに対する温熱処理の影響を検討:温熱処理はTGF-b刺激に先行して行なったが、温熱処理はTGF-b刺激により誘導される細胞の形態変化(紡錘形変化)を抑制しEMT上皮系マーカー(E-cadherin)発現低下を抑制した。間葉系マーカー(vimentin)発現亢進を認めた。【考察】本結果からは、温熱療法は各種免疫療法の効果を増強することが出来ると考えている。また、温熱療法は、EMTを抑制することで転移・浸潤を抑えている可能性がある
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
J Transl Med.
巻: 13(1) ページ: 277-290
10.1186/s12967-015-0632-8
Int J Cancer.
巻: 137 ページ: 2558-2565
10.1002/ijc.29620.
Clin Ther.
巻: 37(6): ページ: 1259-69
10.1016/j.clinthera.2015.03.012. Epub 2015 Apr
Clin Cancer Res
巻: 21(10) ページ: 2268-77
10.1158/1078-0432.CCR-14-1559. Epub 2015
Oncol Rep.
巻: 33(5) ページ: 2545-52
10.3892/or.2015.3815. Epub 2015 Feb 24