• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

病的音声の聴覚心理的評価熟達度と評価に関与する音響パラメータの関係に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 25350617
研究種目

基盤研究(C)

研究機関千葉工業大学

研究代表者

世木 秀明  千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (60226636)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード嗄声 / 音声障害 / 聴覚心理的評価 / GRBAS尺度 / 尺度法 / 音響分析
研究概要

平成25年度は,熟達した音声障害音声(嗄声)の評価者は,どのような音響パラメータに注目して嗄声を評価しているのかや熟達者と初心者との違いについての検討を中心に研究を進めた.
嗄声の聴覚心理的評価値と音響パラメータの関係を検討するためにさまざまな重症度の嗄声40症例について嗄声の重症度と比較的相関が高いとされているAPQ, PPQ, SP, JP, NNEa, NNEb, HNRおよび, 騒音や異音の聴覚心理的評価と対応が良いとされているラフネス, シャープネスの9種類の音響パラメータを音響分析により求めた.さらに,音響分析に用いたものと同一の嗄声40症例について聴覚的心理評価の経験がある言語聴覚士(ST)とSTを目指す学生にはGRBAS尺度と尺度法による評価を,未経験者には尺度法により評価を行わせた.ここで,被験者として協力を得たSTは61名,STを目指す学生は79名,未経験者,20名であった.
嗄声の聴覚心理的評価実験の結果から,ST経験5年以上の被験者を熟達者群,ST経験5年未満の被験者とSTを目指す学生を初心者群,未経験者を未経験者群の3群に分けてどのような音響パラメータに注目して嗄声を評価しているのかや熟達者群と初心者群との違いについての検討を行った.
検討の結果,尺度法による評価では,全ての被験者群において音響パラメータNNEbとシャープネスが最も大きな評価手がかりになっていることや嗄声評価経験年数が長くなるほど音響パラメータの僅かな違いでも適切な評価ができるようになっている可能性が示唆された.また,GRBAS尺度による嗄声評価では,評価項目RやBにおいて熟達者群は初心者群に比べ,より多くの音響パラメータに注目して評価を行っている可能性があることや初心者群は,熟達者群に比べ音響パラメータの変化に対して過大評価をする傾向があることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年度は嗄声に関する実験・検討を中心に行ったため,当初予定していた構音障害の音響分析,および聴覚心理的評価実験を充分な量の構音障害音声に対して行うことができなかった.この点に関しては,平成26年度に重点的に行う予定であり,研究の遅れは充分に取り戻せると考えている.

今後の研究の推進方策

平成26年度は,構音障害音声の聴覚心理的評価を中心に主に聴覚心理的評価初心者,未経験者を対象とした聴覚心理的評価実験を行い,聴覚心理的評価の熟達した評価者と初心者,未経験者は病的音声の音響パラメータの注目の仕方がどのように異なっているのかについて検討し,嗄声および構音障害音声の聴覚心理的評価熟達度と評価に関与する音響パラメータの関係を明らかにする.
さらに,さまざまな重症度の病的音声について的確で安定した聴覚心理的評価を効率的に会得できるようにするためにはどのような訓練・学習プログラムが適切なのかについての検討を行うことに加え,聴覚心理的評価訓練・学習プログラムを開発し,その有効性について検討する.
平成27年度は,前年度までに行った研究結果を基に病的音声の聴覚心理的評価熟達度と評価に関与する音響パラメータの関係を明らかにする.また,開発した聴覚心理的評価訓練・学習プログラムを聴覚心理的評価の初心者,未経験者を対象とした聴覚心理的評価訓練結果を元に改良を加えるとともに,WWWを利用して一般公開し,多くの言語聴覚士をはじめとする音声治療専門家に試用してもらい意見を求める予定である.さらに,3年間の研究成果をまとめる.

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi