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2014 年度 実施状況報告書

病的音声の聴覚心理的評価熟達度と評価に関与する音響パラメータの関係に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 25350617
研究機関千葉工業大学

研究代表者

世木 秀明  千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (60226636)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード嗄声 / 音声障害 / 構音障害 / 聴覚心理的評価 / GRBAS尺度 / 音響分析 / 訓練・学習プログラム
研究実績の概要

平成26年度は,医学的な異常は認められず,その原因が不明とされる構音障害である機能性構音障害のうち,半数以上を占めるとされる側音化構音の音響的特徴を明らかにすることに加え,音響的特徴と側音化構音の聴覚心理的評価の関係についての検討を中心に研究を進めた.
最初に,側音化構音の音響的特徴を明らかにするため,日本語50音表の「い」段と「え」段,およびこれらを含む単語を発話した正常構音音声160音声,側音化構音音声197音声についてLPC分析を行い両者の違いについて検討した.検討の結果,側音化構音音声は,①正常構音音声と比べ,第1フォルマント周波数(F1)と第2フォルマント周波数(F2)の強度差が大きい.②正常構音音声と比べ,第2フォルマント周波数の鋭さを表すQ値が小さいという2点が明らかとなった.次に,明らかとなった2種類の音響パラメータが側音化構音音声の聴覚心理的評価の手がかりになっているのかを検討するために分析に用いた音声を用いて聴取実験を聴覚的心理評価の経験がある言語聴覚士(ST)3名と未経験者19名を被験者として実施した.聴取実験の結果,両被験者群ともにF1-F2の強度差が構音の異常性を評価する最も大きな手がかりであり,第2 フォルマント周波数のQ値も構音の異常性を評価するための手がかりの一つになっていることが示唆された.
さらに,昨年度の研究結果を基に,音声障害音声に対して的確で安定した聴覚心理的評価を効率的に会得できるようにするための聴覚心理的評価訓練・学習プログラムを開発し,その有効性について検討した.開発した聴覚心理的評価訓練・学習プログラムをSTを目指す学生13名,聴覚心理的評価未経験者5名を被験者として訓練・学習効果の検証を行った.検証の結果,音声障害音声の聴覚心理的評価習熟に有効であり,特に評価項目G,R,Bの習熟が顕著であることが示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね計画通り,順調に研究を進めることができた.昨年度は,構音障害音声に対して充分な量の音響分析,および聴覚心理的評価実験を行うことができず,その検討が遅れていたが,その遅れも取り戻すことができた.

今後の研究の推進方策

平成27年度は,前年度までに行った研究結果を基に病的音声(音声障害音声,構音障害音声)の聴覚心理的評価において,聴覚心理的評価の熟達した評価者と初心者,未経験者は評価音声の音響パラメータの注目の仕方がどのように異なっているのかについて検討し,病的音声の聴覚心理的評価熟達度と評価に関与する音響パラメータの関係を明らかにする.
また,昨年度開発した聴覚心理的評価訓練・学習プログラムに対して学習アルゴリズムや使い勝手などに改良を加えるとともに,WWWを利用して一般公開し,多くの言語聴覚士をはじめとする音声治療専門家に試用してもらい意見を求める予定である.さらに,3年間の研究成果をまとめる.

次年度使用額が生じた理由

研究を進めていく上で,必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額が異なった.

次年度使用額の使用計画

平成27年度の研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく.

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公開日: 2016-05-27  

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