研究課題/領域番号 |
25350621
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
丹羽 正利 杏林大学, 保健学部, 教授 (90274985)
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研究分担者 |
佐々木 誠一 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50153987)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳障害 / 姿勢障害 / 腹壁筋 |
研究実績の概要 |
26年度は、外腹斜筋支配神経(外側枝)、腹直筋・内腹斜筋・腹横筋支配神経(内側枝)を刺激することにより、それぞれ同名筋運動ニューロンを同定した後、後根電位の刺激閾値をもとにI群線維だけが刺激される刺激強度を確定し、その刺激強度を変えてガラス管微少電極で細胞内記録を行い膜電位を解析した。その結果、腹壁筋運動ニューロンから同名筋由来のIa群求心性線維刺激において単シナプス性の興奮性シナプス後電位が観察された。異名筋由来のIa群求心性線維刺激において興奮性シナプス後電位はほとんど観察されなかった。その結果をSociety for Neuroscience Annual Meeting (Chicago 2015.10)で報告した。 27年度は、腹壁筋運動ニューロンから細胞内記録をとり、脳幹を刺激して膜電位を解析しその下行路の様態を調べた。まず、腹壁筋支配神経を剖出し、双極カフ電極を装着し電気刺激できるようにした。腹壁筋運動ニューロンへ記録電極を刺入するために、第6胸髄から第3腰髄の間で椎弓切除を行い脊髄背面を露出させた。前庭神経核を電気刺激するための電極を刺入するために、脳幹部背面を露出させた。前庭神経が刺激できるように正円窓に銀ボール電極を植えた。手術終了後、ガラス管微小電極を胸髄・腰髄後索に刺入して単一細胞より細胞内記録をとった。外腹斜筋支配神経(外側枝)、腹直筋・内腹斜筋・腹横筋支配神経(内側枝)を刺激することにより、それぞれ同名筋運動ニューロンを同定した。また、タングステン微小電極を脳幹部背面から刺入し前庭神経核を電気刺激した。また銀ボール電極を刺激することにより前庭神経を電気刺激した。それにより腹壁筋運動ニューロンの細胞内記録を行い膜電位を解析した。その結果、前庭神経核を電気刺激することにより、同側の腹壁筋運動ニューロンから一部小さな興奮性シナプス後電位が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
銀ボール電極を刺激することにより前庭神経を電気刺激した。また、タングステン微小電極を脳幹部背面から刺入し前庭神経核を電気刺激した。それにより腹壁筋運動ニューロンの細胞内記録を行い膜電位を解析した。しかし、今年度当初は脳幹部位の刺激方法がうまくいかず、実験が滞った。電極等を工夫して記録がとれるようになったのは後半からである。その結果、前庭神経核を電気刺激することにより、同側の腹壁筋運動ニューロンから一部小さな興奮性シナプス高電位が観察された。しかしながら、結果をまとめるにはデータが不足している。したがって、28年度にも研究が継続できるように延長申請を行った。28年度に追加の実験と解析およびそれらのまとめを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
腹壁筋運動ニューロンから細胞内記録をとり、脳幹を刺激しその入力を調べる追加実験と解析及び結果をまとめるが今後の研究推進方策である。それに必要な前庭神経刺激電極や脳幹刺激電極は、試作を繰り返し昨年度後半に出来上がっている。腹壁筋運動ニューロンから安定した細胞内記録が得られることによって、前庭神経刺激電極や脳幹刺激電極を用い電気刺激を行う。それによって腹壁筋運動ニューロンの上位中枢からの入力様式の膜電位を解析する。以上から、腹壁筋運動ニューロンへの上位中枢の情報がどのように伝わるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
タングステン微小電極を脳幹部背面から刺入し前庭神経核を電気刺激したが、今年度当初は脳幹部位の刺激方法がうまくいかず、実験が滞った。そのため、結果をまとめるにはデータが不足している。したがって、28年度にも研究が継続できるように延長申請を行った。28年度に追加の実験と解析およびそれらのまとめを行う予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
腹壁筋運動ニューロンから細胞内記録をとり、脳幹を刺激しその入力を調べる追加実験と解析及び結果をまとめる予定である。したがって、追加実験に関わる物品費および旅費として計上する。
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