研究課題/領域番号 |
25350632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
鈴木 誠 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80554302)
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研究分担者 |
桐本 光 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (40406260)
大西 秀明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90339953)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 運動学習 |
研究概要 |
平成25年度の研究では,報酬に伴う相反性抑制機能の変化を検証することを目的とした. 健常被験者8名を対象とし(男性4名,女性4名,平均年齢22.0歳),表面電極導出法により橈側手根屈筋(FCR)および橈側手根伸筋(ECR)から運動誘発電位(MEP)を記録した.経頭蓋磁気刺激(TMS)のための刺激装置にはMagStim200スクエアと直径70 mmの8の字コイルを用いた.まず,FCRとECRを同時に刺激する最適部位を探索するため,各筋のhot spotを中心とした25ポイントを刺激して誘発されたMEP振幅を基に運動野マップを作成し,そのcenter of gravity(CoG)を算出した.実験中は,両筋のCoGの中点にTMSコイルを固定した.報酬課題では,3種類の報酬確率(10%,50%,90%)を用いて手関節屈曲開始合図の0.05秒前および報酬提示の2秒後にTMSを呈示し,報酬に関連したMEP振幅の相反的変化を観察した.その結果,手関節屈曲開始合図直前における主動筋と拮抗筋のMEP振幅相対値(FCR/ECR)は,10%報酬確率が90%報酬確率よりも有意に大きかった(p = 0.008).一方,報酬提示後におけるMEP振幅は,90%報酬確率が10%(p = 0.001)および50%報酬確率(p = 0.001)よりも有意に大きかった. 平成25年度の実験により,報酬課題における報酬確率の変化に伴って,主動筋と拮抗筋に投射する一次運動野興奮性の相反的な変化が観察された.低い報酬確率(10%)は報酬期待をより増加させ,主動筋に投射する一次運動野の興奮性増加と拮抗筋の興奮性低下をきたすことが示唆された.一方,高い報酬確率(90%)では全体的な報酬量の増加に伴い,主動筋に投射する一次運動野の興奮性増加と拮抗筋の興奮性低下をきたすことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の予定であった報酬に伴う相反性抑制機能の変化を明らかにすることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究では,paired associative stimulation(PAS)に伴う相反性抑制機能の変化を検証する.それによって,PASが行動練習前のコンディショニング刺激を提供する効果的なリハビリテーション・ツールとなり得るか否かを検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度途中における施設異動により使用計画に変更が生じたため,当初計画よりも少ない執行額になった. 平成26年度においては,前年度に実施する予定だった実験機器の購入,実験に伴う被験者謝金,学会発表に伴う旅費等を含めた予算の執行を予定している.
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