研究課題/領域番号 |
25350633
|
研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
相馬 俊雄 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (40339974)
|
研究分担者 |
大山 峰生 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10367427)
菅原 和広 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (10571664)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 体性感覚 / 温熱刺激 / 脳磁図 |
研究実績の概要 |
脳磁図(MEG)は,地磁気の1億分の一という微弱な脳磁界を計測するため,シールドルーム内では,磁界を発生する機器や装置を使用することが不可能であった.しかし,これまでに我々は,シールド加工された刺激装置(プローブ)や電極を使用して,ノイズの混入なく体性感覚誘発磁界(SEF)を計測することに成功してきた.本研究は,温熱覚刺激装置を使用して,温度刺激の違いが,それぞれの温度受容器から,どのような神経線維を伝達して,大脳皮質の機能局在部位に投射されるかMEGを用いて解析ことである. 温熱感覚刺激に関する先行研究は,空間分解能の優れているMRIを使用し,温度変化に対して,大脳皮質の機能局在部位の活動についての報告されたものが多い.しかし,本研究では,空間分解能と時間分解能の優れているMEGを使用して,異なる温熱覚刺激における脳内の情報処理課程の違いについて,SEFの波形(潜時・振幅)から解明しようとする試みである. 温熱刺激装置は,これまでペルチェ素子に電圧を加え,温度刺激を行った報告以外にみられない.先行研究で使用している温熱刺激装置(ペルチェ素子)は,非磁性体ではあるものの,電気信号が加わるとMEGの計測中に高電圧なノイズを発生してしまい,計測を行うことができない.そこで今回,レーザー光線を使用してノイズの発生を抑えた温熱刺激装置を製作し,皮膚への温熱刺激時の大脳皮質活動を計測することである.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで報告されてきた温熱刺激装置は,ペルチェ素子などの金属に電圧を加え,温熱刺激を行った研究が多くみられた.しかし,ペルチェ素子は,非磁性体ではあるものの,電気信号が加わるとMEGの計測中に高電圧のノイズを発生してしまい,計測を行うことができない.そこで今回,半導体レーザー光線を使用して,温熱刺激時のノイズ発生をなくし,さらに温熱刺激の立ち上がり速度を電気刺激時の立ち上がりに近似させることができた.そして,製作した温熱刺激装置から,MEG計測時にノイズの発生がみられないことが確認された.しかし,レーザー照射を生体(皮膚)に対して行った場合,実際の皮膚がどの程度(何度)に,加熱されているか明らかにする必要がある.そこで,生体(皮膚)へ直接照射する前段階として黒体板を使用して,設定温度に温熱刺激が行えているか計測を行った.
|
今後の研究の推進方策 |
これまで,温熱刺激装置の製作に取り組み装置が完成した.現在,製作したレーザー刺激装置は,黒体板を使用して温熱刺激を行った際には,おおよそ設定温度に温熱刺激が行えていることが確認された.しかし,実際の生体(皮膚)は,人により皮膚(表面)温度が異なるため,1℃前後の温度変化の設定や一定の温度で刺激を行うことができない.そのため,レーザーの出力と照射面積を調節して,温熱刺激の設定温度を1℃から5℃単位で調節できるよう開発することを予定している.今後は,実際の生体(皮膚)に対して温熱刺激を行い,皮膚の表面温度が設定温度に達するのか検討を行う予定である.また,温熱刺激の立ち上がり(温度上昇)速度を電気刺激時の立ち上がりに近似させる調整が必要となる.そして,実際に皮膚に照射された温度に対して放射温度計を用いて,確認を行っていく予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は,温熱刺激装置の開発に時間を費やした.その結果,刺激装置は完成したものの,刺激プロトコルを検討するために,赤外線照射温度計を用いて皮膚温の温度上昇を計測することが間に合わなかった.
|
次年度使用額の使用計画 |
昨年度は,温熱刺激装置の開発により装置が完成した.今年度は,赤外線照射温度計を用いて実際に皮膚へ照射した温度の計測を行う予定である.また,レーザー刺激装置を用いたリハビリテーション分野の最新の知見を得るための学会参加を考えている.
|