【はじめに】回復期リハビリテーション病棟における、亜急性期の脳卒中患者に対するrTMSと反復促通療法の併用の効果について検討した。 【対象】脳卒中により片麻痺を来した2例。通常の機能訓練のみを行い、麻痺アプローチの追加訓練を行っていない者で、テント上病変患者。上肢および手指の麻痺のレベルは、Brunnstrom stage III以上。 【方法】作業療法訓練を行う前に健側大脳に低頻度rTMSを20分間施行した。刺激部位は、健側大脳運動野手指領域とし、非麻痺側上肢の短母指外転筋のMotor evoked potential(MEP)が最大限に誘発できる部位とした。刺激の強さは、刺激部位においてMEPを誘発できる最小刺激強度の90%とし、週5日間2週間行った。作業療法訓練では、促通反復療法を行った。麻痺側上肢機能を、rTMS施行前、施行後、施行2週間後で、Stroke Impairment Assessment Set(SIAS)運動項目、Brunnstrom stage、STEF、Fugl-Meyer test、WOLF Motor function testで評価した。また、当院にて促通反復療法のみ行った症例との比較も行った。 【結果】1例は経過中に肩手症候群を来したため中止した。1例では、SIASおよびBrunnstrom stage、Fugl-Meyer testにおける機能改善が上肢でみられた。手指については、WOLF Motor function testの2課題で改善がみられた。促通反復療法のみの症例よりも、改善は早期にみられる傾向があった。 【考察】回復期リハビリテーション病棟における、亜急性期の脳卒中片麻痺患者において、rTMSと反復促通療法の併用は、上肢および手指の機能回復において有効であると考えられた。今後は、さらに効果的なrTMSの方法を検討していきたい。
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