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2013 年度 実施状況報告書

ロボットを用いたバランス練習におけるバランス能力とアンクル/ヒップ戦略の変化

研究課題

研究課題/領域番号 25350637
研究種目

基盤研究(C)

研究機関藤田保健衛生大学

研究代表者

平野 哲  藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (80535419)

研究分担者 伊藤 慎英  藤田保健衛生大学, 医療科学部, 講師 (30646980)
加賀谷 斉  藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (40282181)
才藤 栄一  藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50162186)
田辺 茂雄  藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (50398632)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードリハビリテーション医学 / リハビリテーションロボット / 転倒予防 / バランス
研究概要

在宅高齢者における転倒の年間発生率は約10~20%とされており,転倒の5~10%に骨折が発生すると言われている.豊かな高齢社会を実現するために転倒予防の意義は大きい.
我々は倒立振子制御を用いた立ち乗り型移動支援ロボットをバランス練習用に改良し,バランス練習アシストとした.このロボット上で行うバランス練習は,ヒトがバランスを保つための代表的な戦略であるAnkle/Hip strategyに類似しているため,転移性が高いと考えられる.我々は,効果的に練習を行うために3種類の専用ゲーム(前後への重心移動練習,左右への重心移動練習,外乱対処練習)を開発した.ゲームのパラメータを変えることにより練習の難易度は調整可能であり,患者はゲームを楽しむ感覚で練習に取り組むことができる.
今年度は,左右への重心移動練習を,突発的な重心移動を行う内容から,連続的な重心移動を行う内容へと改良した.これにより,練習中には持続的な筋活動が必要となり,効果が高まることが期待された.また,練習レベルを自動的に変更するアルゴリズムを追加することにより,常に最適な難易度で練習を提供することが可能となった.
これまで9名の患者に対してバランス練習アシストの効果を検証する試験を行ってきたが,今年度は改良した練習を用いて試験を進め,合計18名の患者に対する実証試験を終えた.練習前後で比較すると,複数のバランス指標(継ぎ足歩行速度,Functional Reach Test,Cross Test,Time up and go test,Berg balance scale)及び下肢6筋における筋力において改善を認めた.この結果は,バランス練習アシストがバランス練習に効果的であり,転倒予防に貢献する可能性を示唆していると考えられ,8th World congress of NeuroRehabilitation(2014年4月8日~12日,イスタンブール)にて報告を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

バランス練習アシストを用いることにより,従来のバランス練習と全く異なる練習を提供することが可能である.バランス練習アシストで行う練習は,Ankle/Hip strategy への転移性が高く,難易度が調整可能で,楽しみながら練習を行うことが可能であることから,運動学習の観点からも有効であると考えられる.今年度進めてきた実証試験の結果はこれを支持するものである.複数のバランス指標が改善したことは,練習した課題に近い動作だけでなく,総合的なバランス能力が改善したことを示しており,転倒予防にもつながることが期待できる.これまで,転倒リスクを有する患者に対して,理学療法が転倒率を減らしたとする報告は少なく,本研究の成果は意義深い.
バランス練習アシストの作用機序を解明するための研究も準備を進めている.具体的にはまず,練習中の健常者において,3次元動作解析と筋活動の計測を行う予定であり,すでに数症例のデータの計測を開始している.今後は,症例数を増やすとともに,バランス障害を有する患者においても練習介入前後で評価を行ってゆく予定である.
バランス練習アシストの作用機序解明が十分に進んだとは言えないが,バランス練習アシストの有効性の確認は順調に進んでいることから,研究は概ね順調に推移していると考える.

今後の研究の推進方策

バランス練習アシストの有効性を示すための実証試験を推進する.本年度までの成果により,練習介入前後のバランス指標の改善については十分に示されたと考えられるため,今後はバランス練習アシストと従来バランス練習の効果を比較する予定である.具体的には,バランス練習アシストと従来バランス練習をそれぞれ週2回,8週間実施するCrossover studyを実施する予定である.
バランス練習アシストの作用機序解明も進める.練習中の健常者における,バランス練習アシストを用いた練習中の3次元動作解析と筋活動計測を継続する.3種類の練習においてそれぞれ計測を行うことにより,各練習の作用機序を検討することが可能である.健常者の評価が終了後は,バランス障害を有する患者において,バランス練習アシストによる練習介入前後に,3次元動作解析と筋活動計測を行う予定である.これにより,患者におけるバランス戦略の変化が明らかになると考えられる.練習経過と照らし合わせることにより,各練習の作用機序の解明にも有用であると思われる.

次年度の研究費の使用計画

設備備品等について概ね計画通りに使用したが,消耗品購入に充てる金額を残している.
消耗品購入に充てる予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Effectiveness of Balance Exercise Assist Robot2014

    • 著者名/発表者名
      平野哲,才藤栄一,加賀谷斉,石原健,伊藤慎英,田辺茂雄,藤範洋一
    • 学会等名
      8th World congress of NeuroRehabilitation
    • 発表場所
      イスタンブール
    • 年月日
      20140408-20140412

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公開日: 2015-05-28  

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