研究課題
健常成人10名にクッキーの咀嚼嚥下を行わせた.オトガイ,喉頭などにカラーマーカをつけ三次元動作解析装置KinemaTracer(キッセイコムテック社)を用いて咀嚼運動の三次元動作解析を行った.さらに,透視下に舌骨の動きを画像解析ソフトImage-J(NIH米国国立衛生研究所)を用いて解析した.咀嚼運動では周期的な運動が繰り返され,周期運動の停止後に嚥下反射が生じていた.咀嚼と嚥下反射のタイミングを計測し,嚥下反射の遅延が誤嚥に繋がるかどうかを健常人と摂食嚥下障害患者で比較した.Stage transition duration (STD) 中央値は健常者では1.9秒,摂食嚥下障害患者では誤嚥のある場合3.6秒,誤嚥のない場合3.1秒であり,摂食嚥下障害患者では健常者に比して遅延はみられたが,誤嚥の有無では有意差はなく,咀嚼嚥下においては,嚥下反射遅延があっても直接的に誤嚥には結びつかないことが明らかとなった.また,嚥下に重要な舌骨挙上筋群の筋力強化訓練法としてShaker exerciseが知られているが,負荷が大きく6週間を要するため脱落例が多い.そこで,Shaker exerciseに電気刺激を併用することで,より短期間に筋力増強が得られるかどうかを検討した.健常成人20名をShaker exercise群(S群)とShaker exerciseに随意運動介助型電気刺激装置(integrated volitional control electrical stimulator;IVES)を用いたS+I群の2群に無作為に分け,2週間の訓練を行った。S群では有意な差は認めなかったが,S+I群で頭部屈曲筋力が有意に増大した.したがって,電気刺激を併用することで,短期間に舌骨挙上筋群の筋力増強が得られることが明らかとなった.
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