研究課題/領域番号 |
25350646
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
菅 俊光 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40288816)
|
研究分担者 |
荒井 佐和子 広島大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (20610900)
深瀬 裕子 広島大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (80632819)
鈴鴨 よしみ 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60362472)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 脳卒中 / 痙性片麻痺 / ボツリヌス療法 / 質的研究 / QOL / 活動量 |
研究概要 |
協力の得られた慢性期脳卒中片麻痺患者一名に対し,ボツリヌス療法開始前から6回にわたる縦断的面接調査を行った。治療開始前から再施注後まで半月~毎月継続して調査したことにより,治療前後で患者が持つ治療効果に対する認識や現在の生活状況の変化について,詳細なデータを得ることが出来た。治療開始前に行なった調査のデータを2つの手法(Trajectory Equifinality Model:TEM、Modified Grounded Theory Approach:M-GTA)を用いて分析を行った。TEMによる分析では、患者がボツリヌス治療を選択するまでの過程には,ボツリヌス治療に関する多くの情報を得て、これらの情報を得ることによって患者は施注後の自分の生活を考えるようになっていったことが明らかとなった。さらに、ボツリヌス治療開始直前には施注後の自分の生活に関する心配や不安が高まっていたが,医療従事者が治療や施注後の生活について正確な情報を提供することで患者の不安を建設的な方向に向かわせ,ボツリヌス治療選択に至ることが示された。M-GTAによる分析では、リハビリテーションへの受動的関与の悪循環の状態から,患者の困りごとに対する治療効果への期待を持つという体験をきっかけとして,ボツリヌス治療開始後の生活への関心が生まれるという体験の変化を治療開始前に経験していることが明らかとなった。このことから,患者が状態の改善を自分自身で感じるためには,患者自身の困りごとは治療により改善可能だと気付くことが大切だと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、質的評価方法としてTrajectory Equifinality Model:TEMあるいはModified Grounded Theory Approach:M-GTAによる分析を計画していた。調査開始後に再検討した結果、TEMおよびM-GTAの両方で分析を行うこととなった。そのため、分析に費やす時間が増加した。また、研究計画の再検討も必要となり、当初は症例数を10症例、インタビューを1症例につき4回(ボツリヌス施注前、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後)としていたが、症例数を3症例、インタビュー1症例につき4回に変更した。また、ホームページの作製が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
慢性期脳卒中痙性片麻痺患者3症例で、ボトックス療法が患者に与える心理的変化、機能の変化、活動・参加の変化について検討する。心理的変化については、Trajectory Equifinality Model:TEMあるいはModified Grounded Theory Approach:M-GTAを用いて質的な評価を行う。各症例において、インタビューを4回(ボツリヌス施注前、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後)行う。今年度はボツリヌス療法施注後の心理についても検討する。また、遅れているホームページを開設する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究計画の変更により、研究の遅れが生じた。そのため、研究補助やインタビュー時のテープ起こしなどの人件費の多くが次年度使用となった。また、ホームページの開設が遅れているため、その費用についても次年度使用となった。 ボツリヌス施注時に各症例に対してインタビューを4回(ボツリヌス施注前、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後)行うが、インタビューのテープ起こしとしての人件費を見込んでいる。その他、研究補助、ホームページの開設、図書の購入を予定している。
|