研究実績の概要 |
痙縮症例やジストニア症例を代表とする筋緊張異常症の症例を、臥床状態、車椅子、歩行介助、自力歩行可能群の重症度別に分類し、筋緊張・関節運動の重症度数値評価であるAshworth scale を計測、それぞれ症例の安静時呼吸代謝(測定項目はRMR,VO2,Ve,FeO2, Rf)と標準値との相違を計測する。筋緊張が高度であれば安静時代謝は亢進している仮定に基づき、重症度と安静時代謝の相関性を計測し我々の先行研究の正当性を評価する。痙縮治療(ITB 療法)により、術後安静時代謝がどの程度低下するのかを計測し、筋緊張の低下数値評価であるAshworth scale との相関性を評価する。Ashworth scale3以上の症例では、呼吸代謝は正常対照群と比較して約1.8から2.3倍近い数値を認めており、術後は1.0から0.8倍の低下を認めている。痙縮や筋緊張亢進の改善度との相関性を統計学的処理を行い評価している。 歩行可能な3症例には、術前術後の歩行の状態を運動学的、関節運動学的評価を ビデオモニター、モーションキャプチャーにて定量化し、治療効果を検証。安静時代謝だけでなく運動時のエルゴメーター、呼吸代謝も計測し、痙縮を代表とする筋緊張異常症が治療後の運動代謝にどの様に影響を及ぼすかも評価しているがこれに関しては術前術後の有意差は出ていない。現時点での全症例は10例であるが、もう少し症例を追加する予定である。
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