研究課題/領域番号 |
25350648
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
廣島 玲子 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 准教授 (40404777)
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研究分担者 |
山本 真紀 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (60240123) [辞退]
渡辺 正仁 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (70084902)
森 禎章 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (70268192)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 廃用性筋萎縮 / 回復過程 / 熱ショックタンパク質70(HSP70) / ミオシン重鎖(MHC)アイソフォーム / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
廃用性筋萎縮からの回復や予防はリハビリテーション臨床現場では大きな課題であるが,その回復過程やメカニズム,効果的な治療方法に関する研究はまだ少ないのが現状である.本研究では11週齢Wistar系雄ラットを使用し,下肢ヒラメ筋に廃用性筋萎縮を発症させ,その後ラットを再びケージ内を自由に動けるようにし,筋萎縮からの回復過程を検討した.また,回復過程においてリハビリテーションで頻繁に使用される治療法(冷却/温熱,電気刺激,ジョギング運動,消炎薬剤)をそれぞれのラットに1週間実施し,7日目にヒラメ筋を摘出して筋の回復における治療効果を検討した.本研究では筋の状態により発現量が変化するとされる熱ショックタンパク質70(HSP70)およびミオシン重鎖(MHC)アイソフォームに着目し,回復過程におけるこれらのmRNA遺伝子レベルおよびタンパク質レベルでの発現量変化を検討した. 我々の先行研究では,廃用性筋萎縮を起し脆弱になった筋が自身の体重を再負荷しただけで最初の3日間は損傷や壊死を起こすが,その後は徐々に回復へと進むことがわかった.しかし後肢懸垂解放翌日より治療を開始したため,この損傷期に治療が過度な刺激となり炎症を増悪または延長させた可能性が考えられた.そこで,この炎症が更なる損傷へと進むネガティブなものなのか,またはこの損傷が回復へのきっかけとして必要不可欠なポジティブステップとなるのかを検討する必要があると考え,この炎症を詳細に分析するため大阪医科大学病理学講座による指導・協力を得て免疫化学染色や炎症マーカー等を使用して損傷期から回復期への流れやメカニズムを検証し,回復を促すための効果的かつ効率的な治療法の開発を引き続き検討する.また,mRNA 遺伝子レベル分析はリアルタイムPCR法,タンパク質レベル分析はWestern Blotting法を用いて分析を継続する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は平成25年度が初年度であり,実験開始に先立ち研究環境の整備に手間取った.例えば,関西福祉科学大学において健康福祉学部所属動物実験動物飼育室使用のための環境整備,同大学保健医療学部所属先端医療研究室使用のための環境整備,また大阪医科大学病理学講座に対する指導協力の要請など,研究に必要な機器や備品の整備・購入など複数部門に渡り施設・機器・備品を使用するための整備に手間がかかった. 現在は全ての環境が整い,実験動物飼育室にて廃用性筋萎縮作成および回復促進のための治療法実施,先端医療研究室にて摘出ヒラメ筋の分析,大阪医科大学病理学講座にて本実験全般にわたる指導協力が可能となり,出足が遅れてしまった本実験を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
当初の実験計画では平成25年度に「回復実験」,平成26年度に「介入実験」であったが,実験開始時に研究環境の整備に手間取り実験が予定より遅延したが,現在は環境が整い本実験を進めている.平成27年度は引き続き「回復実験」および「介入実験」を継続予定である. 本実験では筋の活動量により変化するとされる2種のタンパク質,HSP70およびMHCアイソフォームに着目して分析検討している.平成26年にはこれらタンパク質のmRNA発現量をより高感度で迅速,詳細に分析できるリアルタイムPCR分析機器を関西福祉科学大学先端医療研究室に導入し,遺伝子レベルでの変化についてより精度の高い解析が可能となった.また,廃用性筋萎縮からの回復過程早期に起る筋損傷,つまり萎縮筋が自重により損傷する時におこる炎症について免疫化学染色や炎症マーカーを使用して損傷から回復への流れやメカニズムを検証するに際して,大阪医科大学病理学講座より指導協力を受けながら実験を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度である平成25年度は研究環境の整備に時間や手間を要し,実験が当初の予定より遅延し,そのため必要機器や備品の購入がわずかであった.平成26年度は実験環境の整備拡大のためリアルタイムPCR分析機器の購入やその周辺備品購入,学会発表のための英語校正料などに助成金が使用された.これら理由により当初の助成金使用予定額より平成25~26年度の支出額が少なくなり,その分が次年度への使用額に加算された.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は引き続き「回復実験」および「介入実験」を実施するために複数の治療機器(実験動物用トレッドミル,電気治療機器など)やその周辺機器購入が予定されている.また実験動物購入費用や試薬・消耗備品の購入を予定している.
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