研究実績の概要 |
【方法】電気刺激にはヒト皮膚由来線維芽細胞(CC-2511; Clonetics, San Diego, CA)で、8継代を使用した。対照群と直流微弱パルス電流刺激条件(電流強度;200 µA、周波数;2 Hz又は10Hz)で、インキュベーター内で白金電極にて1時間通電した。 【mRNA発現解析】電気刺激終了後、TRIzol Reagents (Thermo Fisher scientific, Bremen, Germany) にてmRNAを分離し、クロロホルム、イソプロパノール、75%エタノール、RNase-free水を使用してmRNAを抽出した。抽出されたmRNAを逆転写し、得られたcDNAにて real-time PCR(applied biosystems StepOneTM;life technologies)を解析行った。プライマーはGAPDH、TGFβ1、α-SMA(TaqMan® Gene Expression Assay)を用いた。PCR反応には、iCycler IQを使用し、95℃30秒、62.5℃30秒、72℃30秒の3ステップ反応を40 cycle行った。PCR反応後の融解曲線解析にて、ターゲット遺伝子の特異性を確認し、GAPDHをreference遺伝子とした⊿⊿t法にて相対発現量を算出した。 【結果】対照群と比較して、周波数2 Hzで刺激した線維芽細胞群のα-SMA mRNA発現が高くなり、周波数10Hzでは対照群と同値を示していた。また、TGFβ1mRNA発現は、周波数2 Hzでは上がらず、周波数10Hz群では軽度上昇していた。これらの結果から、線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化が周波数2Hz群に認められたことになり、先行研究や仮説と矛盾する結果となった。今後、機器のメンテナンス及び手技の検討を継続する必要性がある。
|