SDラットを次の4群に分けて卵巣摘出術による骨粗鬆症モデルに対する磁場(膝関節部)の影響を検討する実験を行った。卵巣摘出+磁石群(OVXmg)、卵巣摘出+非着磁群(OVX)、SHAM+磁石群(SHAMmg)、SHAM+非着磁群(SHAM)における脛骨海綿骨量はSHAM ≒ SHAMmg > OVXmg > OVXであり、特に骨梁幅は有意に増加し(OVXmg vs SHAM)、骨粗鬆の指標である骨梁平均体積(v*tr)は有意に増加した(OVXmg vs OVX)。大腿骨海綿骨骨量も同様の傾向を示した。骨標本では海綿骨骨梁においてOVXmgの破骨細胞面はOVXに対して38%にまで減少していた。下肢の骨格筋(ヒラメ筋、長趾伸筋)重量に差は認められなかったが大腿直筋FG線維の筋横断面積が OVXmg > OVX > SHAM > SHAMmg、関節軟骨の破壊により増加する血中Ⅱ型コラーゲン濃度はOVX > SHAM ≒ SHAMmg ≒ OVXmgであった。以上より、全身性の骨粗鬆症モデルラットに対する局所的磁場は付近の海綿骨破骨細胞の活性を低下させて骨梁減少を抑制し、磁場直下の骨格筋のFG線維の横断面積を増加させ、関節の破壊も抑制する傾向にあることが示唆された。次に坐骨神経切除による筋萎縮、骨粗鬆症モデルラットに対する局所磁場の影響を検討するため、坐骨神経切除+磁石群(DNmg)、坐骨神経切除+非着磁群(DN)、SHAM+非着磁群(SHAM)を設定した。脛骨海綿骨の骨量、骨梁幅に3群間の差は認められなかったが骨量数がDNmg > DN ≒ SHAM の傾向を示し、大腿骨海綿骨骨量は DNmg > DN > SHAM の傾向を示した。筋においては磁場直下の大腿直筋湿重量が有意に増加した(DNmg vs DN)。以上より、各骨粗鬆症モデルにおける静磁場の運動器への有効性が示唆された。
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