研究概要 |
本研究の目的は,下記の3点である.①リハ医療に導入された「質の評価に用いる指標」について,指標に関わる因子間の交絡などを考慮したうえで信頼性と妥当性を検証することである.②現在のP4Pの基準で評価されたデータの結果と,リハ専門家が臨床的に評価する「医療の質」との一致性を検証することである.③総合的に「質の評価」指標の病院間比較を行い,「質の評価」が医療の質の向上に与える影響を検討することである(ベンチマークの可能性の検討). 平成25年度は,上記の研究目的の内の①と③を中心に取り組んだ. 一つ目は,リハビリテーション患者データベース(リハ患者DB)のデータを用い,入院時に退院時の患者の機能状態を予測する信頼性・妥当性が担保された予後予測式を開発し,Japanese Journal of Comprehensive Rehabilitation Scienceで発表した(Jeong S, Inoue Y, Kondo K, Matsumoto D, Shiraishi N. Formula for predicting FIM for stroke patients at discharge from an acute ward or convalescent rehabilitation ward, Japanese Journal of Comprehensive Rehabilitation Science.5:19-25,2014). 二つ目は,開発した予測式を用い,病院間の治療成績の差と,病院の取り組み内容を検証し,ベンチマークの可能性を検討した(鄭丞媛・近藤克則:回復期リハビリテーション病棟における自立度予測,総合リハビリテーション.(印刷中)).
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今後の研究の推進方策 |
2014年度からは,特に以下の2点に取り組む予定である. ①医療の質と効率性の評価指標の信頼性と妥当性を検証するために, 構造(人材配置, 施設等),過程(訓練時間, 訓練量),結果(ADL改善率, 自宅退院等)の3つの視点から質の評価項目を設定し,これらの交絡を考慮した上で,厚労省が導入した「医療の質評価」指標の妥当性を検証する. ②交絡を考慮した多変量解析モデルを用いた指標を開発し,それによる医療の質や効率に関するベンチマーキングを行い,病院間に差があるかどうかを検討する.
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