被験者延べ100名を対象として、難易度の異なる二重課題実施時の歩幅の変化を測定して歩行注意係数を導出し、過去1年間の転倒経験の有無と比較した。その結果、転倒未経験者の歩行注意係数は、転倒経験者の歩行注意係数よりも有意に大きい値となり、さらに転倒未経験者の歩行注意係数は有意に1以上の値となった。 また、考え事を開始してからの転倒危険性の時間変化を予測するため、若年者及び健常高齢者を対象とした二重課題歩行実験を行い、課題の有無を入力、重複歩距離の変化を出力とするARXモデルを同定した。その結果、課題実施後2秒から3秒間の間に重複歩距離が最小値となり、この間に転倒の危険性が増大することが示唆された。
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