研究課題/領域番号 |
25350665
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
太田 裕治 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (50203807)
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研究分担者 |
中澤 公孝 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90360677)
山下 和彦 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (00370198)
大隅 久 中央大学, 理工学部, 教授 (00203779)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオメカニクス / 姿勢制御運動モデル / 高齢者 / 無侵襲計測 / 運動機能 / 運動介入 |
研究概要 |
本年度は,高齢者(健康,虚弱,骨・関節症疾患)の立位・歩行機能の維持増進・改善に向けて,以下を実施した. 1)足底に掛 かる圧を無線計測することで,立位・歩行時のバランス運動を無侵襲定量する手法,ならびに,3 次元距離カメラ(ToF カメラ)により立位時の姿勢動揺量を非接触計測する手法を構築した.前者については,静止立位時の重心動揺軌跡を求める手法を構築した.すなわち,従来,この計測には据え置き型重心動揺計が用いられてきたが,ここでは靴デバイスの左右両足底14 個の圧センサ出力に基づきCoP 軌跡を求める手法を構築した.後者については,予備実験を通じ,カメラから3m 近辺の位置において数mm 程度の変位計測精度を得ており,この位置で立位人体が動揺した時の身体各部位の変位計測精度をVicon システムを用いて較正した. 2)前記デバイスを用いて,運動器疾患者を含む高齢者群に対し,立位・歩行時の運動機能を網羅的にフィールド計測しデータ収集する.さらに,データを解析し系統的に各群の特徴を抽出する.介入(運動訓練)前後での機能向上についても評価を行うことで,介入効果の持続性を評価するとともに,エビデンスに基づいた効果的経済的な介入方法を考察した. 3)立位姿勢制御ならびに体幹の運動特徴を表現する機械モデルを開発し,新たな解析手法,ならびに,他のデバイス開発等への応用展開を考案した.とくに高齢者群の代表的な立位運動データに基づき,倒立振子をベースとした機械モデルを開発し,神経・筋システムの観点から各関節の姿勢制御戦略への考察を行った.モデル構築には Matlabを利用した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高齢者の運動機能の無侵襲計測手法に関しては開発をほぼ完了した.また,フィールド計測についても,東京都大田区,埼玉県志木市,山梨県富士温泉病院にて実施した.介入評価に関しては,対象者の運動機能の評価にとどまらず.医療保険費の削減効果の解析にまで踏み込んで実施した,加えて,新しい運動介入方法である水中歩行訓練に関しても,別途新しい計測方法を確立し,健常者に対する準備的な実験を成功させた.運動モデルの開発に関しても,コリンズらにより近年新しく開発された手法であるSDA法(Stabilogram Diffusion Analysis)を身体動揺に適用しデータ解析を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に進んでおり計画を変更することなく,今後も当初の計画に沿って研究を実施する.すなわち,本年度も昨年度と同様の計測フィールド(東京都大田区,埼玉県志木市,山梨県富士温泉病院)にて被験者計測を行い,データの収集・解析に務める.とくに,研究の新しい切り口として,ノルディックウォーキングが近年注目を集めており,申請者らも,その1次~3次予防効果に着目してデータ収集・解析を行うとともに,水中ノルディックウォーキングが一層の効果を有することが分かりつつあることから,その生体評価方法を確立する計画である.水中でのバイオメカニクス計測は先攻研究があまり無いこと,さらには,弱重力環境でのヒトの運動機能の解析に踏み込むことから,新たな研究領域を開拓する可能性を有する.
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次年度の研究費の使用計画 |
フィールド計測については25年度は研究代表者により実施し,研究分担者はデータ解析を実施したため.運動モデル開発に関しては解析を準備的なものとし,既存のシステムにより実施したため. 平成26年度実施のフィールド計測から得られるデータ整理・論文投稿等に使用する計画である.また,運動モデル開発に際しては,モデル作成のために必要となる実験機器(ハード)などの製作に使用する計画である.
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