研究課題/領域番号 |
25350668
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
橋本 健志 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60294229)
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研究分担者 |
四本 かやの 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (10294232)
児玉 豊彦 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (10549166)
田中 千都 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (60570257)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 就労支援 / 自殺予防 / 対人コミュニケーション技能 / 作業療法 / 就労移行支援事業所 / ICT / 統合失調症 / 気分障害 |
研究概要 |
本研究では、自殺未遂歴がある精神障害者に対して自殺リスクをマネージメントしながら、就労支援を行う特化型就労支援プログラム(個別支援とICTによる社会資源の情報提供の二つの柱によって構成されるプログラム)を開発および実施し、その有用性を検討することを目的とする。 平成25年度は、①著しい希死念慮等の重度精神症状のために入院した199人の統合失調症患者の退院時の精神症状および回復状況について調査した。多くの患者は、退院時において対人関係における疲れやすさが持続していると自己認識していることを明らかにし、Psychiatry Clin Neurosci. 2014 ;68(1):70-7に報告した。②急性期統合失調症患者に対する入院早期からの個別作業療法を実施し、それが機能的自立度の改善をもたらすこと、とくに対人コミュニケーションと社会的認知スキルにおける改善をもたらしうることを介入研究により明らかにした。結果はClin Rehabil. 2014 (in press)に報告予定である。これら2件の研究結果から、患者の対人コミュニケーション技能の改善や向上は地域生活する上で極めて重要であり、急性期早期からの作業療法等のリハビリテーション介入によって対人コミュニケーション技能の改善につながることが予想され、このことは就労への準備性の向上につながると考えられた。③神戸市内の就労移行支援事業所を利用した精神障害者160名の就労結果、希死念慮の有無、疾患名、支援内容等の情報を収集した。その収集した情報の一部は、第21回日本精神障害者リハビリテーション学会で報告した。④社会資源に関する情報提供メール文章を作成し、自殺予防にかかわる医療従事者5人および当事者ボランティア2人のチェックを受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度に予定していた特化型就労支援相談窓口の対応マニュアルおよび連携マニュアルの作成にまでは至っていない。しかしながら、研究成果として、精神障害者の個別支援が重要性であり、フォーカスして支援すべき点の一つが対人コミュニケーション技能であることなどを明らかにしたこと、さらには就労移行支援事業所と協力し精神障害者の就労に影響すると思われる情報を収集し、さらに精神障害者に対する社会資源に関する情報提供メール文章を作成したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は、まずは、就労移行支援事業所を利用した精神障害者160名の就労結果、希死念慮の有無、疾患名、支援内容等の情報を収集しており、安全な就労に寄与する支援内容を明らかにするために回帰分析を実施する。その結果をもとに特化型就労支援相談窓口の対応マニュアルおよび連携マニュアルを作成する。その後、当初の計画通り、自殺未遂歴のある精神障害者に対して、特化型就労支援相談窓口を開設し、窓口による支援と携帯メールによる情報配信サービスを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、平成26年度の使用計画の中でデータ解析に係る費用として必要なため。 データ分析および成果物の印刷に際して、コンピューター関連消耗品および文具購入に使用する。
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