本研究では、舌で操作するジョイスティック型の操作デバイスを開発した。本デバイスの特徴は、舌で操作する点に加え、操作反力を制御できる機構を設けていることである。開発した機構は、スティック下端を弾性体で支持する方式であり、操作時のスティックの動きを弾性体の弾性復元力により抑制するものである。弾性体の支持長さ(支持剛性)を制御することで、間接的に操作反力を調節するものである。実験により、およそ7倍の操作反力(剛性)の違いを作り出せることが確認できた。 また、被験者による操作反力の知覚実験を行い、今回製作したスティックで実現できる操作反力の範囲では、3段階の反力の違いを知覚できることを確認した。この操作反力の制御を利用し、移動ロボットの操作実験を行った。被験者は目隠しをし、障害物の存在するフィールドで移動ロボットの操作を行った。実験では、移動ロボットが障害物を検出した際に、スティックの操作反力を高めることで操作者にその存在を知らせる。と同時に、安全な方向への操作反力を低くするように設定した。結果として、障害物を回避し、安全な方向へスティック操作を行うよう促すことが実現できた。 現在は、3段階の反力レベルの知覚に留まっているが、スティック支持機構を見直すことで、さらなる操作反力の増大を見込むことができる。その改良を行うことで、より多数の操作反力のレベルを知覚することが期待でき、よりインタラクティブな操作システムが実現できると考える。
|