研究課題/領域番号 |
25350682
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜薬科大学 |
研究代表者 |
定本 清美 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (00297673)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 使用者調査 / 官能試験 / PTP / 開封困難 / 障害者 / ユニバーサルデザイン |
研究概要 |
1本年度は1年目の計画であるPress Through Package (PTP)使用者調査と官能試験の結果を解析しその内容を項目別に整理した。使用者調査においては、実際に手指機能障害がある場合には、日常の薬の服用に際して困難がある実態が明らかになり、その対策としてのdeviseの開発の必要性が示唆された。また、官能試験においては一般成人における数種の素材や形状を変化させたPTPの開封結果と、関節リウマチ患者においては明らかな違いが見られた。一般人において、開封に問題が見られない包装であっても、高齢者や手指機能障害者では開封困難で薬を取り出せない状況が確認された。このような結果から開封と関連する要素を整理し、実際のPTPをどのように変化させていくか、標準的に開封できる包装を作成するのはどのようにすればよいかについて検討を開始した。具体的には、関連要素である素材やフィルムの厚さ、空隙率などを解析しながら必要な条件を整理し、さらに来年度につなげて検討していく予定である。これらの研究施行によって、今年度の計画の中に入っていた共同研究の推進すること(製薬会社、素材・製造会社)を実際に実現させた。また、実態調査の結果と官能試験の結果の両者を対照させてみると、使用者が感じている日常の薬の使用に際する問題点が、実際の官能試験と明らかに関連していることが明らかになった。高齢化社会においては、薬の使用頻度が高い高齢者への配慮は医療の質と安全ばかりでなく、医療経済的にも重要だと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1今年度はPTPのユーザー調査と官能試験を行うことの大きく2つを目標としていた。ユーザー調査は主に患者を対処とした大規模調査を施行した。また、官能試験についても、一般健常成人を対象として様々な要素を変化させたPTPを実際に開封し、客観的指標(NRS)にて評価してもらった。また、同様のPTPを用いた関節リウマチ患者における官能試験も行い、比較することができた。さらに健常者のデータを解析して、開封に関して良い評価が得られたPTPと比較的悪い評価がえ得られたPTPにおける違いを、素材や形状のデザイン空隙率などを考慮して解析を始めた。
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今後の研究の推進方策 |
1現状、大規模調査による日常の開封の問題点、官能試験における開封実態などの集積されたデータを用いて、実際に使用についての問題と、それらを改善できる可能性について探る。その上で、詳しく解析して望まれるPTP包装の要素を明らかにする。その後、それらの要素を実際に備えたPTPの作成を共同研究者である企業とともに実現化させる。その後さらに新たに作成したPTPの開封性、使用性について再度官能試験を行って検証していく予定である。また今年度に引き続き、結果についての学会発表をおこないさらに論文作成へとつなげていく予定である。
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