研究課題/領域番号 |
25350686
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
中野 倫明 名城大学, 理工学部, 教授 (70329770)
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研究分担者 |
重松 良祐 三重大学, 教育学部, 准教授 (60323284)
山田 宗男 名城大学, 理工学部, 教授 (70509653)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超高齢社会 / 高齢者支援 / 日常生活 / 自動車運転 / 認知機能 / 健康運動 / 運転シミュレータ / 香り提示システム |
研究概要 |
シミュレータメーカと共同で,高齢者の運転時の認知機能を測定できる簡便な運転シミュレータを試作開発した.この運転シミュレータを用いて,地域の高齢者支援グループ(津市・河芸保健センター,長久手市・シルバー人材センター)と共同で自動車運転時の認知機能を測定し,高齢者の認知機能レベルを評価した. まず,津市・河芸保健センターで運動プログラムを新規に開始する高齢者を募集し,10名の高齢者の参加が得られた.参加者には事前に十分な説明を行い,運転シミュレータに慣れていただく練習を実施した.次に,2013年11月(運動プログラム開始時点)および2014年2月(運動プログラムを約4ヶ月継続した時点)の2回に亘り,運転シミュレータでの模擬運転による認知機能の測定・評価の実験を行った.認知機能として,日常生活や自動車運転で不可欠な4つの機能(注意力,空間認識力,計画・遂行力,記憶力)を設定し,各機能の低下がどのような危険な運転行動や事故につながるかを調査・検討することにより,それらの運転行動を運転シミュレータで模擬的に再現できる方法を開発した.また,運転上の安全の観点から,各運転行動と認知機能低下の度合いを対応付けし,認知機能レベルを5段階で評価する方法を考案した. 2回の実験結果から,運動プログラムを約4ヶ月継続することによる認知機能の向上の程度を評価したところ,10名の高齢者の被験者全員について認知機能の向上が認められ,本運転シミュレータの有効性と現行の運動プログラムの継続効果を確認することができた.同時に行った医学的な認知機能検査,運動機能の検査,ならびにアンケート等のヒアリングにより,自動車運転だけでなく日常生活全般において注意力や記憶力の向上が確認されたことから,高齢者の意識・意欲の点でも元気な高齢者を生み出す支援の一助になり得ると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者の認知機能測定運転シミュレータの開発と試行,ならびに高齢者の認知機能・運動機能向上プログラムの普及と認知機能レベル測定システム開発では,地域の高齢者 支援グループ(津市・河芸保健センター,長久手市・社会福祉協議会など)と共同で,現行の運動プログラムに参加している高齢者に対して自動車運転時の認知機能測定を実施し,運動継続の効果を検証しつつある.自動車学校(名古屋市の中部日本自動車学校など)と共同で,同シミュレータの高齢者教育のツールとしての評価については,試作開発した運転シミュレータの更なる性能向上と運動プログラムの長期継続の効果を検証し,その結果に基づいて実施する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
(1)運動プログラム継続の効果検証については,津市・河芸保健センターで運動プログラムを新規に始めた高齢者10名について引き続き実施し,約1年~1年半の運動継続の効果を確認する. (2)運動プログラムを実施した高齢者群に対して,実施しない高齢者群を設定し,比較検討する.それにより,運動プログラムの継続期間と認知機能向上との定量的な関係を把握する. (3)現在,津市・河芸保健センターおよび周辺の高齢者に関する検討を行っているが,愛知県内での運動プログラム参加者を募り,都市および地方在住者の比較検討を行う.都市および地方在住における日常生活や自動車運転の生活スタイルの違いを踏まえ,新たな高齢者支援方法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度の計画で使用予定であった「簡便な運転シミュレータ(外注製作)一式」(概算:200万円)について,年度末の3月に外注試作が完了し納入済みであるが,手続きの関係で次年度4月に執行予定である.従って,実際の次年度使用額は約10万円である. 次年度は,高齢者を被験者とした評価実験の回数が増える見込であり,実験機材の購入,実験のための装置の運搬費(レンタカー代),高齢者への実験協力に対する謝礼として使用する予定である.
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