研究課題/領域番号 |
25350687
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 星城大学 |
研究代表者 |
三田 勝己 星城大学, 健康支援学研究科, 特任教授 (40100169)
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研究分担者 |
赤滝 久美 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 教授 (30280811)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 重症心身障害 / 地域生活 / ICT / 情報ネットワーク / 遠隔医療 / 生活支援 |
研究概要 |
重症心身障害児(以下,重症児と略す)とは,重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複し,日常的な生活支援のみならず,常に医療的な管理を必要とする人たちである。申請者らは,情報通信技術(ICT)を利用して重症児施設(支援提供者)から地域で生活する在宅重症児(利用者)を支える縦方向(縦割り)の情報ネットワークの研究に10数年間従事してきた。本研究では,まず適切なICTシステムの選択と技術的課題の検討を行う。次いで,支援提供者あるいは利用者がそれぞれ横方向に連携した情報ネットワーク(①重症児家族の交流,および,②重症児施設と地域基幹病院との医療連携),さらに,縦型と横型の情報ネットワークを統合して地域生活を包括的に支援する格子(Grid)型ともいえる情報ネットワークを構築する。そして,これらの実証運用と評価を行い,実用化を図ることを目的とした。 本年度は,まず,ICTシステムの選定と技術的課題の検討から始めた。すなわち,本研究ではパソコンにWebカメラを付加し,専用ソフトをインストールすれば簡便に利用できるインターネットテレビ電話(Skype)を導入した。パソコンは据置型だけでなく,タブレット型やスマートフォンなどユビキタスな利用も検討した。また,Skypeはマニュアルがほとんど提供されておらず,一般の利用者が容易に理解できる分かりやすいマニュアルを新たに作成した。次に,横型情報ネットワーク基盤の一つである「ICTを活用した重症児家族の交流」に取り組んだ。具体的には,北海道道北地域に居住する重症児居宅6箇所を対象とし,ICTを活用した家族交流のための情報ネットワークの実証運用を約半年間にわたって継続した。評価は技術的な問題点,交流頻度,時間,交流内容記録の分析と家族のインタビューを手がかりに進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,その目的を達成するために4つの個別課題を設定した:①ICTシステムの選定と技術的課題の検討,②重症児家族の交流:横型情報ネットワーク,③重症児施設と地域基幹病院との連携:横型情報ネットワーク,④包括的支援基盤:格子型情報ネットワーク。課題①は当初の計画を達成できた。課題②の重症児家族の交流は1年間の実証運用の半ばであるが,家族からはICTによってお互いに顔をみながら気楽に話ができることで気持ちが休まり,癒しにつながったとの感想が聞かれた。
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今後の研究の推進方策 |
課題②について実証運用を継続し,少なくとも1年間にわたるデータを蓄積し,実用化を図るために有用性の客観的評価と課題の分析と対策を進めていく。また,課題③の横型情報ネットワーク:重症児施設と地域基幹病院との連携に着手する予定である。なお,対象となる地域基幹病院は市立稚内病院であり,小児科医師の共同研究の承諾と研究計画に関する事前打ち合わせを行った。
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