パーキンソン病は進行疾患であり、根治的な治療および病態の原因は未解決である。神経疾患のなかでも発生数も多く、高齢化社会の今日、注目される。病状の進行に伴い、ドーパ製剤などの薬の効果は減弱し、さらに動作緩慢、姿勢異常、歩行困難などの日常生活動作の低下をきたす。なかでも、歩行困難は、社会面、生活面にも大きなハンデとなる。パーキンソン病の歩行問題は、小刻み歩行、すくみ足がある。すくみ足は、動作開始に問題があって、視覚キューによる改善や、音刺激による改善もある。しかしながら、その病態機序はわかっていない。そこで、視覚、聴覚以外の方法のキューとして、電気刺激があり、電気刺激のキューを用いた歩行の改善をめざすことが本研究の目的である。 まず、頭皮脳波と近赤外線分光法を用いて、パーキンソン病における脳内皮質変化を検討した。 歩行中の近赤外線の測定データ上、刺激により歩行が改善している例では、前頭葉の賦活が得られた。 前頭葉への賦活の変化が得られると推測されたので、脊髄刺激パーキンソン病例にも研究を施行した。前頭葉の賦活とパーキンソン病例での脊髄刺激による歩行改善には、刺激頻度は低頻度2-5Hzがよいであろうとが一致していることが多かった。また、脳波の解析で はDC shiftに着目し、数例であるが、前頭葉での脳の活性の抑制をみている。これと前述のNIRSとの結果に相違点を生じたこととなった。脳波成分の方が始まりその後の賦活といった、時間的な変化かもしれないと推測している。
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