研究課題/領域番号 |
25350694
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
野崎 園子 兵庫医療大学, リハビリテーション学部, 教授 (50463477)
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研究分担者 |
市村 久美子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (00143149)
桂木 聡子 兵庫医療大学, 薬学部, 講師 (60608678)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 服薬 / 嚥下障害 / 反復唾液のみテスト / 要介護者 |
研究概要 |
目的:本研究では、医療職の観察により、服薬状況の実態データを収集して解析し、臨床における服薬の問題点を抽出することを目的とした。 方法:対象は22施設の服薬困難のある高齢者 130名。服薬状況を調査した症例カードを回収して分析した。調査項目は服薬困難の状況、服薬困難であった薬剤、患者背景、嚥下障害の評価(反復唾液のみテスト、水飲みテスト、フードテスト、平素の食形態)、内服薬の剤形、服薬方法である。 結果:服薬困難患者の年齢は70-80歳台が多く、男女比はM/F 59/69、基礎疾患は、脳血管障害54名、神経筋疾患19名、 認知症17名 、呼吸器疾患13名、頭頚部疾患3名であった。ただし重度の認知症は除外した。スクリーニングテストの水飲みテスト(water swallowing test)が異常なものは71名、反復唾液のみテスト(repetitive swallowing test)の異常は97名であった。服薬の自立は17名、全介助52名、半介助53名、服薬困難だが食事は普通食を食べているものは 38名であった。一度に飲む薬剤数は 1剤~3剤91名、4剤~6剤22名であった。服薬困難の薬剤は、剤形の大きさや剤形の種類に依存しなかった。服薬困難の状況としては、嚥下困難感(薬の飲み込みにくさ)、3回以上飲み込む動作、水やゼリーで何度も流し込む、むせ、口腔内残薬、咽頭残留感、服用後に口腔周辺などで薬が見つかるとの項目が多かった。 現時点でのまとめ:服薬困難患者は、脳血管障害や神経筋疾患に多くみられ、スクリーニングテストで異常がみられていた。特にRSSTは服薬困難を予測するひとつの指標となる可能性があり、患者の服薬状況の注意深い観察が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メールによるデータ依頼、定期的な情報交換が有効であったと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は継続して症例カードを回収するとともに、56名の研究協力者とのミーティングを予定している。服薬困難について、多くの問題点や注意喚起点が見出されたので、今後の啓蒙活動に向けて、手引書作成に向けて意見交換の予定である。 また、評価の同意が得られた症例については、詳細な嚥下機能検査や呼吸と嚥下の同期性検査に向けて、関係者と準備を勧める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は多施設共同研究であり、広く研究内容を周知して研究参加を呼び掛けたため、研究協力者確定に一定の時間を必要とした。56名の研究協力者が現在データ収集に当たっている。また、各研究協力者所属機関における倫理審査委員会の承認を得る必要があった。そのため、第1回の症例カードの記入が9月、送付が10月となり、その後、第2回が1月締め切り、第3回が4月締め切りというスケジュールで経過している。現在は第2回のデータクリーニング中であり、第3回のデータ収集期間となっている。 以上の理由で平成26年度に支出予定がずれ込んでおり、平成25年度は当初予定より支出が少なかった。 平成26年度は、データが200例以上集積した段階で、研究協力者ミーティングを9月ごろ行う予定であり、今後、会議費用などで支出を予定している。研究症例への謝品(QUOカード)の受領書についても、現在最終確認を行ったうえで支出予定である。 また、European Society for Swallowing Disordersにすでに演題を登録しており、学会参加の費用も平成26年度を予定している。
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