研究課題/領域番号 |
25350705
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研究機関 | 白鴎大学 |
研究代表者 |
金田 健史 白鴎大学, 教育学部, 准教授 (00406232)
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研究分担者 |
東浦 拓郎 亜細亜大学, 国際関係学部, 講師 (50436268)
木田 哲夫 生理学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (80419861)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 注意処理資源 / 児童 / 追跡予測性 |
研究実績の概要 |
本年はこれまでヒトの注意処理機能について,特に注意処理資源の配分に着目した研究内容について検討するために,2カ年を通じて用いてきた二重課題の実施方法を再検討した.特に,二重課題を用いた研究では二重課題干渉が生じるが,運動課題(グリップ把持動作を用いたマッチング課題)について発揮筋力の小さな子どもたちを対象とした場合に生じる測定誤差を最小限に抑える工夫が必要なことが明らかとなったためこの点に関して検討可能な測定機器の調整および工夫をおこなった.また,これまで用いてきた課題では運動課題の継続(繰り返し)により運動課題中にマッチングのパフォーマンスに予測が可能と考え,上下に移動する追跡目標が不規則に上下することで追跡予測性の影響について検討できるよう準備した.これらをもとに,児童に関する実験前に成人に対して予備実験をおこなっていた段階で昨年実験室が自然災害によって浸水被害に遭い,実験機器や実験室が大きなダメージを受けたため申請書に記載した研究目的,実施計画に沿った研究の終了することができなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初,実験の実施予定だった9月初旬に生じた大雨の影響で大学内に浸水が生じ,実験室および実験機器が水害を受けた.このため,実験室の使用が困難となったこと,また実験機器の再購入や修理などのため本年度の研究は達成できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題を進めるため,平成28年度は平成26,27年度に採用した認知課題(聴覚オドボール課題)と運動課題(グリップ把持動作を用いたマッチング課題)における課題内容をさらに精査し,研究を進めていく.まず,運動課題において採用しているグリップ把持動作をそれ以外の動作も含めて再検討する予定である.また,運動課題に関しては児童においても一定のスピードでの追跡動作の継続は課題遂行によってパフォーマンスの向上がみられ,一定の動作の繰り返しにより運動課題(特にマッチング課題)では目標の追跡作業に予測的な要素が含まれステレオタイプの動作の繰り返しをおこなうことで運動課題への注意処理資源の配分を低下させ,これにより二重課題をより円滑に遂行しようとする可能性も考えられる.先行研究においては追跡予測ができない場合には成人においてもより多くの注意処理資源の配分がおこなわれることが報告されていることから,児童にみられる注意処理資源の配分について検討するには有効な実験デザインであると考えられる.そこで,今年度はあらかじめ作成した追跡条件において追跡目標の動きに規則性をなくすことで課題遂行中を通じて運動課題への注意処理資源配分を高めた条件を用いることで二重課題の遂行に関わる注意処理過程において児童期特有にみられる活動が出現する可能性をさらに検討したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は当初予定していた実験が実施できなかったことが主な理由として挙げられる.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は,前年度実施できなかった二重課題を用いた研究を進展させていくため,特に児童の参加者への配慮として,脳波測定に必要なキャップ電極の追加購入および消耗品購入に加えて,今年度は運動課題に関する実験デザインを確定していくために運動課題の作成に用いる備品の購入も検討している.また,国内での学会への参加および研究分担者との研究打ち合わせや情報収集に係る旅費,このための旅費を予定している. 謝金については特に児童の研究協力者を確保するとともに,児童のデータ数を増やすために人件費・謝金として使用したいと考えている.これにより信頼性の高い結果を得ることで論文投稿にかかる費用での使用も予定している.
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