研究課題/領域番号 |
25350706
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
吉永 真理 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (20384018)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エデュケア / プレーパーク / 就学前 / 入学後適応 / 遊び / コミュニティ |
研究概要 |
1)ベースラインデータの収集 測定項目を決定し(左右ジャンプ、棒反応、長座前屈、握力、体支持力、GONOGO反応)、調査研究対象の2保育園(うちひとつはこども園、n=42)と対照群(O保育園、自主保育グループ、n=17)の子どもたちの測定を行った(町田市の1園は日程調整の関係上26年の5月1日に測定予定)。本研究で中心に据えているのは、地域の大人の見守り(プレーリーダー)のある自由に外遊びのできる環境であるプレーパークの活用によってエデュケアのできるシステムを構築することである。初年度の測定では、プレーパークを十分に活用している対照群で、調査研究対象群より有意にすぐれた体力測定項目が多いという結果となった。エデュケア・プログラムを通して、体力測定結果の変化を慎重にフォローしていくことが重要であることが示された。 2)研修会の実施 25年12月には長崎大学大学院岩永竜一郎先生を講師とする、感覚統合に関する研究会を実施した。保育園、幼稚園、保護者、専門家、小学校教諭、子育てサークルの方、プレーパーク関係者、NPO関係者など多様な出席者を得た。会の概要はこども環境学研究9(3)に掲載された(「プレーパークでの遊び大発見-感覚統合の視点から遊びについて考えよう!」p50)。26年2月には、高知大学大学院荒木秀夫先生を講師として、コオーディネーショントレーニングに関する研究会を実施した。こちらは町田市のたぬき山プレーパークを前半の会場とし、プレーパークを実際に体験しての研修となった。12月の研修会と同様の参加者を得たが、加えて、体育学を専門とする学生と調査対象児の保護者が多数参加し、プレーパークにおける遊び活動の意義を再確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画したベースラインデータの収集と、研修会を順調に企画実行することができた。特に研究対象群として羽根木プレーパーク周辺の保育園、こども園在園の在園児グループと、対照群としてプレーパークで非常に多くの時間を過ごす未就学児グループより参加の承諾を得たことは大きかった。また2回の研修会は各50名以上の参加者を得て、NPO世田谷子育てネットにより中間支援的活動(広報と参加者の子どもの見守り保育)を担ってもらったことでより多様なコミュニティで子どもに関わる方々の参加者を得ることができた。 被災地におけるプレーパークの役割を考える研修会のみは未実施となった。被災地との日程調整がむずかしかったことが大きな要因である。また測定が1月以降になったため、測定結果を成果として学会等に発表する時間がなかった点が反省点である。
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今後の研究の推進方策 |
●ベースラインとして収集した測定データの群別比較などの分析結果を学会等に発表する。 ●調査研究対象園の子どもたちと共にプレーパークでの遊び活動を年3-10回程度実施し、プレーパークについての子どもたちの認知度をあげる。活動自体が直接体力測定データに影響するかどうかを見極めながら、「プレーパークについて知る」ことが子ども達の入学後の生活適応に与える効果につなげていきたい。関係者間の協働連携のためのコーディネートをさらに進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた機器が本計画実施の現場(保育園)ではサイズの関係で使用できないことが判明したため、測定項目を再検討し、購入を見送ったため、差額が生じた。代わりに大学研究室で所有していた機器を用いた測定(棒反応)を導入し、子どもの体力測定によるからだの発達の全体像把握に影響しないように配慮した。 翌年度分と合わせた使用計画としては、遊び活動運営スタッフへの支払いに充てることを計画している。具体的には、町田市で協働する「NPO法人子ども広場あそべこどもたち」がたぬき山での常設運営ができなくなった事情(研究申請時には常設運営の予定だった)を考慮して、近隣の大規模公園で本研究の対象保育園児のために臨時開催をお願いしている。月1回程度の頻度で遊び活動を委託開催してもらって、その際にアクション・リサーチを実施する予定である。
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