視覚-動作遂行過程への認知的情報処理の関与について、大きさ認識の錯視を誘発する標的を摘まむ動作(Grasping)への錯視の影響の有無の点から検討した。“標的認識-動作開始”の時間的制約が厳しい場合にGraspingは錯視の影響を受けた。また、Graspingと選択反応課題を同時遂行させ、視覚-動作遂行過程における認知的処理の抑制をねらった場合でも、Graspingは錯視に影響された。これらは、課題条件に応じてGraspingが認知的情報に基づいて遂行されたことを示唆する。“物体認識と動作のガイド”というふたつの視覚情報処理経路の動作遂行への機能的関与についてはさらなる検討が必要である。
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